31日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が一時1ドル=113円台前半へ下落。トランプ米政権の保護主義政策に対する懸念を背景に、ドル売り・円買いが優勢となった。

  午後4時37分現在のドル・円は前日比0.2%安の113円57銭。朝方は113円台後半でもみ合っていたが、日本株の下落を背景に徐々に上値が重くなり、11時すぎにトランプ大統領が入国制限に反対した米司法長官代行を解任したと伝わると113円46銭まで下落した。その後日本銀行が金融政策の現状維持を発表したのを受けて113円台後半へ上昇する場面もあったが、正午すぎには113円24銭まで下げ、2営業日ぶり安値を付けた。

  日銀は31日の金融政策決定会合で、昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を決定した。誘導目標である長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いたほか、長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどの「約80兆円」も維持した。 

  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「日銀会合の結果はコンセンサスに沿っていると思うが、金利上昇を見込んでいたところにとっては多少失望かもしれず、米国との金利拡大という意味では円安要因にはなる」と説明。もっとも、「戻ったところはトランプ不安を背景としたドル売り需要が強い」とし、「市場の関心の中心がトランプ政策という中でこれをもって円安・ドル高にはなりづらい感じがある」と話した。   

  日銀はこの日公表した四半期に一度の経済・物価見通しで、海外経済の改善や円安などを背景に実質成長率を上方修正する一方、物価はほぼ据え置いた。ブルームバーグがエコノミスト42人を対象に18-23日に実施した調査では、全員が今回の会合で金融政策の現状維持を予想していた。

  午後5時には日銀が当面の長期国債買い入れの運営方針を公表する。バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジストは、「最近、国債買い入れオペの金額・回数を動かしているので、来月の運営方針がどうなるかに注目している」とした上で、「今月当初のところから据え置きを予想している」と話した。

  黒田東彦総裁は午後の記者会見で、日々の金融調節が先行きの政策運営姿勢を示すことはないと述べた。こうした発言を受け、ドル・円は下げ幅を縮小し、113円台後半へ値を戻した。

  トランプ米大統領は30日、イエーツ司法長官代行を解任した。同長官代行はスタッフへのメッセージで、入国制限に関する大統領令は司法省の「常に正義を求め、正しいものの側に立つという厳粛な義務」と一致しないと述べていた。

  31日の東京株式相場は米大統領選以降で最大の下げ。トランプ米大統領が27日署名したイスラム圏7カ国市民の入国を禁止する大統領令を受け、世界的な株安の流れが続いた。

  みずほ証の鈴木氏は、「トランプ大統領は政策が乱暴なだけでなく場当たり的な感じもあるので、景気刺激策のところも本当に期待できるのかというのが少し出てきている」とし、ドル・円は「目先売られやすい地合いが続きそう」と語った。

  一方、ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、入国規制に絡むトランプリスクも材料としてはだいぶ消化されてきているとし、「この後にはFOMC(米連邦公開市場委員会)や米雇用統計もあるということで、ドル・円の底割れはみていない」と話した。  

  米国では31日から2日間の日程でFOMCが開かれる。金融政策は現状維持が見込まれており、声明文で次回の利上げ時期についてのヒントが得られるかどうかが焦点となっている。

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