ドイツ銀行の株価は昨年9月に付けた過去最安値からほぼ2倍になった。ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は先週、回復の「芽生え」に言及し、株主にとって希望の光が見えた。しかし問題がなくなったわけではない。

  過去の不祥事に絡む費用は欧州の銀行のうち最大。何年分もの利益が飲み込まれ、将来の規制に基づく資本最低要件を満たすのがいっそう困難な情勢だ。増資を避けたいクライアンCEOは、資産売却と必要資本の大きい債券トレーディング業務の縮小で対応を図る。しかし期待通りの価格で売却できない恐れや収入面で債券事業への依存が大きいことなど、障害は大きい。

  エクイネット・バンクのアナリスト、フィリップ・ヘスラー氏は「今は銀行株について楽観が膨らんでいるが、ドイツ銀にはまだ課題がある」と指摘。「訴訟費用がそれほど高くなければ増資は回避できるだろうが、そのためには利益を上げる必要がある。今後数四半期で、それができるかどうかが分かるだろう」とコメントした。

  ブルームバーグがまとめたアナリスト11人の予想によると、ドイツ銀が2日に発表する2016年10-12月(第4四半期)の純損益は13億5000万ユーロ(約1650億円)の赤字と見込まれる。13億ユーロの法的費用引当金とアビー・ライフ部門の売却損8億ユーロが含まれる。債券トレーディングは増収が予想されているが、米国勢ほどではないかもしれない。 

  アナリスト予想平均によれば、債券トレーディング業務では5四半期連続で米銀の後塵を拝したとみられる。クライアンCEOは資本負担が重くなる債券業務を縮小し、幾らかの収入を犠牲にするのを辞さない方針を示しているが、マッコーリー・グループのアナリスト、ピアース・ブラウン氏は「市場シェアを伸ばすことがドイツ銀にとって望ましい」と言う。ただ、ドイツ銀にはそのための資本がないと付け加えた。

  資本についてコメルツ銀行のアナリスト、マイケル・ダンスト氏は訴訟費用が重しとなってきた近年の状況は恐らく17年も続くと予想する。ドイツ銀は今週、モスクワとロンドン、ニューヨークの各支店のマネーロンダリング(資金洗浄)関与をめぐる調査に絡み米英当局に計6億2900万ドルを支払うことで合意した。

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  昨年10-12月は中国の銀行の持ち分20%売却が寄与し、普通株ティア1比率は約0.5ポイント上昇したと見込まれる。そのほか消費者向け部門のドイツ・ポストバンクや資産運用事業の新規株式公開(IPO)で資本を強化する可能性もある。

  収入が伸び悩む中でクライアンCEOは2018年までに最大15億ユーロの純コストを削減する計画を打ち出している。アナリスト予想では16年第4四半期の法的費用は前年並み、退職金や事業再編の費用は減少で、コスト目標に向け幾分前進した公算が大きい。ただ、ドイツ銀がまとめたアナリスト17人の予想平均によれば、18年の調整後費用を220億ユーロ未満とする目標にはわずかに届かない見込み。

原題:Deutsche Bank’s Key Capital and Cost Challenges in Four Charts(抜粋)

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