任天堂株は1日、5カ月ぶりの安値まで売られた。今期(2017年3月期)の営業利益予想を引き下げたことが嫌気された。

  株価は一時、前日比4.8%安の2万2005円となり、昨年8月26日以来、5カ月ぶりの安値となった。午後2時7分現在は同2.9%安の2万2445円。

  任天堂は1月31日、今期の営業利益予想を200億円(従来300億円)に引き下げた。3DS向けソフトの販売が同社の期待に届かなかったほか、ゲームと連動するフィギュアの販売も低調だった。円安によって為替差益が生じ、純利益予想は900億円(従来500億円)に上方修正した。売上高は従来予想(4700億円)を据え置いた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の村上宏俊シニアアナリストは31日付リポートで、今回の決算が「株価に与える影響はネガティブ」と指摘。理由として為替前提を円安方向に見直したにもかかわらず、広告宣伝費の増額、フィギュアの「アミーボ」やダウンロードの販売予想の減額などから営業利益計画を下方修正した点を挙げている。

任天堂「スイッチ」
任天堂「スイッチ」
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  クリスマスプレゼントとしてゲームが売れる10ー12月期は任天堂にとって最大の商戦期。新型家庭用ゲーム機「スイッチ」の発売を3月に控えた今回は、現行の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)U」の販売不振をスマートフォン向けゲーム「スーパーマリオラン」と携帯型ゲーム機「3DS」で補う形だった。スマホの普及でゲームをめぐる環境が変化しており、今期は8期連続の減収となる見込み。

スイッチは予約好調

  君島達己社長は1日の経営方針説明会でスイッチの予約は好調だとした上で、ソフトの発売計画について「順次、隙間を空けることなく新しいタイトルを提供する」と説明した。また「話題を持続させ、スイッチのセールスの勢いを維持する」と述べた。

会見する君島達己社長
会見する君島達己社長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  スイッチは3月3日、日本や米国などで発売する。価格はソニーのゲーム機と同水準の2万9980円。タブレット端末のように持ち運んで外で遊ぶこともでき、今期中に200万台の販売を見込む。「ゼルダの伝説」が本体と同時に発売され、「スーパーマリオ」や「スプラトゥーン」などの人気ゲームも夏以降に発売予定だ。任天堂以外に70社以上のソフトメーカーが100タイトル以上を開発中で、スイッチ本体も赤字が出ない価格で販売する。

  君島社長は3DSについても、価格や機能などの点からスイッチとのすみ分けは可能とした上で、後継の携帯型ゲーム機についても「引き続き検討している」と話した。ソフト開発も続ける。

DeNA以外と提携も

  マリオランのダウンロード数は1日時点で7800万だった。無料でダウンロードした顧客のうち、5%超が購入しており、任天堂は10%以上の割合を目指す。スマートデバイス・キャラクター関連収入で前期比で増加した約60億円のうち、大半がマリオランからのものだという。ただ、今期中を予定していた「どうぶつの森」のスマホ向け配信は来期に先送りした。

  スマホゲームの開発はディー・エヌ・エー(DeNA)と提携して行っている。君島社長が将来的に他の企業との提携を否定しない、という意向を示したことで、同社株は一時、前日比11%安まで売られ、15年10月以来、1年3カ月ぶりの日中下落率となった。

  任天堂は収益の多角化を急いでおり、2月にはマリオランに続くスマホゲーム「ファイアーエムブレム ヒーローズ」の配信を始める。昨年7月には、任天堂が32%の株式を保有する「ポケモン」が関わった「ポケモンGO」の配信が開始され、世界的なヒットゲームとなった。日米3カ所のテーマパークで、マリオなどゲームキャラクターを使ったエリアを開設する計画もある。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE