31日の東京株式相場は続落。トランプ米政権の入国制限措置に対し世界が反発、内向き政策が経済や外交に与える悪影響が警戒され、為替の円高推移も嫌気された。東証1部33業種は全て下げ、下落率上位に輸送用機器や鉄鋼、海運など景気敏感株、銀行や証券など金融株が並んだ。

  TOPIXの終値は前日比22.10ポイント(1.4%)安の1521.67、日経平均株価は327円51銭(1.7%)安の1万9041円34銭。両指数の下げ幅と下落率は、米国大統領選の結果を受けた昨年11月9日以来の大きさ。

  シンガポール拠点のヘッジファンドであるヴィレッジ・キャピタルの高松一郎最高投資責任者 (CIO)は、午後の一段安は「米司法長官代行の更迭で米政治の混乱が加速すると懸念されたことが主因」と分析。日本株は、トランプ米大統領が為替政策や自動車などの通商問題で「何を言い出すか分からないリスクを織り込み始めた」とみている。

東証内
東証内
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  トランプ大統領が27日に署名したイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令で、米国の保護主義傾斜への警戒が市場で広がっている。30日の米S&P500種株価指数は0.6%安と、下落率はことしに入り最も大きかった。自動車大手のフォード・モーターや清涼飲料最大手のコカ・コーラは、入国禁止の大統領令に反対姿勢を示した。

  入国制限に反対したイエーツ司法長官代行をトランプ大統領が解任した、きょう午前11時すぎに市場に伝わると、為替市場で安全資産とされる円買いの動きが先行。一時1ドル=113円20銭台まで円が強含んだ。前日の日本株終値時点は114円58銭。また、朝方は堅調だったシカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)のS&P500種先物も下落に転じた。

  ソシエテジェネラル証券の杉原龍馬株式営業部長は、「リスクオフの地合いの中、司法長官代行解任の話が出て、リスク回避が加速した」と指摘。トランプ氏は公約を実行しているに過ぎないが、「市場は保護主義政策をここまで実際にやるとは想定していなかった」と言う。

  米政策の不透明感とNECなど一部企業の業績悪化を受けたきょうの日本株は、朝方から幅広く売りが優勢。一時持ち直す場面もあったが、午前後半以降は為替動向、先物の動きに連れ再度下げ幅を広げ、日経平均はこの日の安値引けとなった。

  日本銀行は30、31日の日程で金融政策決定会合を開き、午前の取引終了後に結果を公表、政策金利をマイナス0.1%とするなど現行内容を据え置いた。内藤証券の田部井美彦市場調査部長は、金融政策の現状維持は「事前の想定通り」とした上で、黒田東彦総裁が「前回の中期ゾーンのオペ減額にテーパリングの意図はないと否定しない限り、円高進行リスクがつきまとう」との見方を示していた。

  東証1部の売買高は19億9746万株、売買代金は2兆4867億円と代金は前日から29%増加。上昇銘柄数は396、下落は1518。東証1部33業種の下落率上位は電気・ガス、鉄鋼、海運、輸送用機器、証券・商品先物取引、陸運、銀行、ゴム製品など。

  売買代金上位では、通期利益計画を下方修正したNECが急落し、ソニーが株式を売却するエムスリー、メリルリンチ日本証券が予想以上の外部委託費増加はネガティブと指摘したヤマトホールディングスも安い。オムロンや富士重工業、富士通も売られた。半面、通期業績に上振れ余地がある、とSMBC日興証券が評価した住友化学は上げ、ヤクルト本社やミスミグループ本社、9カ月決算が営業増益のスタンレー電気も高い。

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