ワーキングクラス(労働者階級)は昨年、トランプ米大統領のホワイトハウス入りと、英国民投票での欧州連合(EU)離脱の選択を促す原動力となった。4月と5月に行われるフランス大統領選で有力候補と目される最大野党・共和党のフィヨン元首相は、妻への給与支給に関係する検察の予備捜査で窮地に立たされており、ワーキングクラスの反応が最大の脅威となる恐れがある。

  支配者層に属するフィヨン氏が掲げる経済政策は、多くの経営幹部トップや国際機関が長年求めてきた種類の処方箋だ。同氏のライフスタイルをめぐる報道に怒りを覚える多くの低所得層にとって、それは自分たちの生活水準を脅かす危険と映りかねない。

  フランスの検察当局は、共和党など中道・右派陣営の統一候補であるフィヨン氏の妻に対し、議会スタッフの給与として約50万ユーロ(現在の為替レートで約6085万円)の不適切な支給が行われた疑惑をめぐり予備捜査を開始。同氏の支持者の一部では、日々の暮らしに追われる庶民に無関心な候補という印象が、選挙のリスクになると懸念する声が高まっている。

  世論調査によれば、フランス有権者に占める割合が単独で最も大きいワーキングクラスは、圧倒的にフィヨン氏を支持していない。「トランプ大統領型の衝撃」を自ら再現するチャンスを高めるため、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首は、そうしたフィヨン氏の弱みにつけ込もうとすることが予想される。

  フィヨン内閣で閣僚経験のあるダチ元法相は20日のラジオインタビューで、「このような状況が続けば、ミドルクラス(中間層)全体が国民戦線に身を委ねることを後押しするだろう。ルペン氏が実質賃金と雇用、労働者、減税を擁護する候補者になるなら、警戒すべきだ。われわれは壁にぶつかることになろう」と指摘した。

  仏国立統計経済研究所(INSEE)によれば、同国の登録有権者4480万人のうち、年間所得が2万ユーロ(約243万円)を下回るワーキングクラスは全体の3分の1近くを占める。

原題:French Favorite Imperiled by Same Anger That Fired Trump Win (1)(抜粋)

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