東京大学の河合正弘教授は、日本銀行の金融政策について、インフレ率が2%にかなり近くなるか超える程度まで上昇しなければ、金融政策を引き締め方向に変更することは考えられない、との見方を示した。

  河合氏は26日のインタビューで、現在のいわゆるオーバーシューティング型コミットメントの金融政策の枠組みでは、インフレ率が「相当2%に近づく」か「2%を超えるくらい」にならないと、「金融政策の変更というのは考えられないと思う」と指摘。「金利がかなりジャンプしたとしても、それに合わせて金利のターゲットを引き上げることは金融の引き締めになるので、それはちょっと考えられない」と語った。

  今後、米連邦制度準備理事会(FRB)の利上げに伴って、日本の金利にも上昇圧力がかかった場合には、逆に「国債の買う量を多くしなくてはいけないかもしれない」とも河合氏は指摘し、「それも特に問題はない」と述べた。

金利

  BNPパリバ証券やバークレイズ証券のアナリストは、世界的に金利が上昇していけば、日銀は現在の長短金利操作付き量的・質的緩和の下で0%程度としている長期金利の目標を引き上げると予想する。

  国債市場では、26日に長期金利が0.09%と約1カ月ぶりの高水準を付けた。背景には、米国債の金利上昇に加えて、日銀の金融市場調節の不透明感がある。40年物国債の利回りは26日に11カ月ぶりに1%台に上昇した。ただ関係者によると、日銀は物価上昇率が1%に達しても長期金利の誘導目標引き上げには慎重なスタンスで臨む構えだ。

  日銀は30、31日の両日開く金融政策決定会合では当面の金融政策を決定し、物価や経済の見通しを示す展望リポートも公表する。河合氏は日銀は「今の状況で動く理由は何もない」と指摘。金融政策はワークしているので物価は方向感としてマイナスを抜け出してプラス方向に向かっている」ところであり、このプロセスを速めるために「もっと金融緩和をするという段階ではない」と述べた。

物価に変化の兆し

  総務省が27日発表した昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年同月比0.2%低下とマイナスが続いたものの低下幅は縮小、昨年2月の横ばい以来の水準に戻している。今年は円安や原油価格の回復が物価上昇の追い風になる見込みだ。

  河合氏は、国債など資産買い入れを縮小するいわゆるテーパリングに入るかもしれないとの見方には、「日銀の中でテーパリングを考えているとは全然思えない」と述べ、日銀は「かなりフリーハンドを持っていると思う」と語った。

  河合氏は2001-03年に黒田総裁が財務省の財務官当時に副財務官を務め、02年には黒田氏と連名で日銀は3%のインフレ 目標を掲げ、資産購入を通じてマネタリーベースを拡大すべきだとの論文を発表。現在は日銀参与も務める。

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