世界の二大経済大国間で貿易摩擦が激化し、膨れ上がる貿易赤字を背景に関税引き上げと報復措置の可能性が浮上。米国の新しい大統領は相手国からの譲歩を強く要求する。

  どこかで見た風景だ。貿易で最大のライバル国に狙いを定めたのは、トランプ大統領が最初ではない。1980年代、貿易をめぐり米国は日本と激しくぶつかったが、93年に就任したクリントン大統領は前任者よりさらに強硬な対日姿勢を示し、米国製品を閉め出し不公正な貿易慣行を続けているとして日本を名指しで批判した。

安倍首相
安倍首相
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  クリントン氏は自動車部品や市場アクセスなどの分野での譲歩を求め、日本に経常黒字を減らすよう要求。クリントン政権は一部の日本車に100%の関税を課すと迫る局面もあったが、クリントン氏が大統領として最後に参加した主要国首脳会議、2000年の九州・沖縄サミットでは、世界の途上国支援が日米間の主要テーマとなり、この時までに貿易は最も大きな問題ではなくなっていた。

  トランプ氏の標的は、日本に代わり世界2位の経済大国となった中国だ。ただアナリストの多くは、現実主義が優勢になるだろうと予想している。中国経済だけでなく、米経済、それに中国のサプライチェーンに組み込まれた韓国や台湾といった米国にとって重要なパートナーに打撃を及ぼす恐れのある貿易戦争を回避する現実的な路線だ。

  カーネギー国際平和財団のダグラス・パール副会長は、「トランプ氏が中国からの輸入品に大規模な関税を課す公算は小さい。中国製品に痛みを伴う関税を課す道を歩めば、中国は報復措置を講じるだろう。それを踏まえれば、世界の成長を押し下げる広範な貿易戦争に発展する可能性は極めて低い」と指摘した。

為替操作国

  トランプ政権が世界貿易機関(WTO)への提訴を通じ、鉄鋼などの分野を狙い撃ちするとみるエコノミストもいる。中国からの投資に対する審査を強化したり、中国を為替相場操作国と認定したりする可能性もあるが、こうした動きで直ちに影響が出る恐れはほとんどないとみられる。

  ケリー・ドライ・アンド・ウォーレンのシニアアドバイザー、グレゴリー・マステル氏は「こうした措置の一部が、中国にメッセージを送る柔軟性の高い手段となるかもしれない。米国側に直ちに問題が生じる可能性は比較的小さい」と分析。米上院財政委員会のために国際貿易アドバイザーやエコノミストを務めた経歴もある同氏はその上で、「これら全てが1回限りの関税引き上げではなく、多くの問題での数年間にわたる対立を示唆している」と語った。

原題:U.S. Trade Spat With Japan Offers Lesson as Trump Eyes China (1)(抜粋)

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