前内閣官房参与で安倍晋三首相に経済政策を助言した本田悦朗駐スイス大使は、トランプ米政権下でのドル円相場について、今年を展望すれば1ドル=120円を超える円安もあり得るとの見方を示し、その理由として日米の金利差を挙げた。

  本田氏は25日、ブルームバーグの電話取材に応じ、為替相場はいろいろな要素で動くため短期的には予断を許さないと前置きした上で、「少し長い目でみれば方向としては円安方向にいくだろうと思う」と述べ、年内を展望した場合には「120円超えるのは驚きではない。当然あり得るだろうと思う」と語った。

本田悦朗氏(16年2月)
本田悦朗氏(16年2月)
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Local Caption *** Etsuro Honda

  トランプ米大統領は就任に先立って米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、ドルは「強過ぎる」と表明。次期米財務長官の承認を待つムニューチン氏も「過度に強いドル」が同国経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性があるとの考えを、米上院議員に書簡で回答した。これらを受けて、昨年12月に一時118円台まで上昇したドル円相場は足元では113円台で推移している。

  本田氏は円安方向を予想する理由として日米金利差に言及。米国金利が上がる方向である一方、日本銀行は短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%に誘導しているため、日本の金利は「当面低位安定すると思う」と述べた。米国は産業育成などから「短期的にドル高になり過ぎるのは困ると思う」としながらも、長期的には強い米国の象徴であるドルがそう弱くなっても困るとみている。

  本田氏は日本の経済政策について財政出動が足りないとの見方を示し、財政赤字を増やしてでも名目国内総生産(GDP)を拡大して税収を増やすことが「先決問題」と指摘。デフレ完全脱却には2017年度に「大規模な本格的な補正予算が必要ではないか」と語った。具体的な規模は状況次第としながらも、「5兆円ぐらいの補正予算は日本にとっては非常に追い風」と述べ、公共投資以外に子育て、教育、科学技術など「所得再分配的な使い方も非常に重要だと思う」と語った。

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