昨年11月の米大統領選挙以降、米ドルに対し上昇している唯一のアジア通貨は、意外にも台湾ドルだ。

  就任したばかりのトランプ米大統領は公約してきた保護主義的な貿易政策の実行に着手。台湾と中国との難しい関係をリスクにさらすこともいとわない構えを示しているが、アナリストらは依然として、2017年の台湾株への資金流入を見込んでいる。

  海外投資家は今月に入り台湾株を約15億米ドル(約1700億円)買い越し、指標である加権指数を1年半ぶりの高値に押し上げた。台湾ドルも昨年10月以来の高値水準にある。

  スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」が発売10周年で新製品「8」を投入すると臆測されている米アップルへの投資家の大きな期待が台湾の追い風だ。これに関連した受注で、加権指数を構成する企業の1株当たり利益は今後1年で20%増えると予想されている。時価総額で台湾1、2位の企業、台湾積体電路製造(TSMC)と鴻海精密工業はいずれもアップルのサプライヤーだ。

  統一投信の資金運用担当者、林世彬氏(台北在勤)は「ホットマネーがあり、利益見通しがポジティブな限りは、引き続き資金が台湾に流れ込むだろう。サプライチェーンからのフィードバックに基づけば、今年の新型アイフォーンはより大きなアップグレードとなる」と述べる。

  DBSグループ・ホールディングスの馬鉄英エコノミスト(シンガポール在勤)は「見込まれる米ドル上昇は、台湾ドルに対する一定の下落圧力になるだろうが、経済・貿易要因や経常黒字を踏まえると台湾ドルは他のアジア通貨を上回るパフォーマンスになるだろう」と分析する。

  ただブルームバーグ調査の中央値では、台湾ドルは米ドルに対し年末までに5.3%下げ、アジアで最も大きな下落になるとの予想が示されている。

原題:Apple Trumps Trump in Taiwan With Asia’s Only Currency Gain (2)(抜粋)

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