シ・インさんは中国の春節(旧正月)の連休を親類と祝うために上海に帰省することはない。その代わり、皆で日本へ買い物や観光に行くつもりだ。

  この新しい習慣によって彼女の家族は里帰りに付き物である人混みや交通渋滞、ひどい顧客サービス、そして退屈をも避けることができる。シさんと親類はこれまでにシンガポールやマレーシア、タイ、米国を訪れたこともあるという。

  北京の非政府組織(NGO)に勤務するシさん(30)は、「中国の旧正月で私の両親が最も望まないのは、上海の家に3人でとどまることだ。春節に海外旅行するコストは、国内の一部観光地へいくのとほぼ同じだ」と語った。

  中国の春節に伴う7連休の本質的意味が変容しつつあるのは、所得増加と国際線ネットワークの拡大がより多くの国民を海外に向かわせていることが背景にある。今年は春節の連休中の海外旅行者数が過去最高の600万人を上回る見通しで、日本と韓国、東南アジアに向かう便はほぼ満席となっている。

  コンサルティング会社マッキンゼーの上海在勤パートナー、スティーブ・サクソン氏は「中国の旧正月は、中国の航空会社の国際線サービスで大きなピークだ。多くの人にとって、年に2回しかない長期休暇取得チャンスの一つだ」と付け加えた。

  今年は春節の連休が1月27日から2月2日で、地球上で最大の人の移動が見込まれている。航空機や電車を利用する中国人は4億1400万人余りに上る見通しだ。中国民用航空局によると、今年の春節連休に航空機を利用する中国人は約5830万人と前年を1割上回る予想。

銀座の中国人観光客
銀座の中国人観光客
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  アジア最大の航空会社、中国南方航空はこの旅行シーズンのピークに3600便近く増便し、オーストラリアとニュージーランドへの運行サービスを拡充すると発表。子会社のアモイ航空はバリやモルディブなど東南アジア行きを100便余り増やす。

  シさん一家は1月27日から7日間の日程で京都と東京を訪れる。観光のほか、化粧品や衣料品、炊飯器、ハイテク便座などを買い求めるつもりだという。「私の両親は旧正月の旅行を本当に楽しみにしている。旅行全体での私の出費は8万元(約131万円)に抑えられればいいと思う」と語った。

原題:$12,000 Trips Abroad Replace Chinese New Year Treks to Grandma’s(抜粋)

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