超低金利下で国内債券での運用が厳しい中、日本生命保険の筒井義信社長は、米国の利上げは年末までに2、3回あると想定し、「相対的には外債に対する投資妙味は上がってくる」とみている。

  為替ヘッジのコストも上昇しており、今年度下半期(2016年10月ー17年3月)はリスクヘッジしない「オープン外債を積み増していく計画」と言うが、米国のトランプ新政権の下では「不透明で不安定な為替の動きは十分想定しておかないといけない」として、機動的な為替ヘッジも必要と述べた。

筒井義信社長
筒井義信社長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  積極財政論者のトランプ氏が昨年11月に米大統領に選出されて以降、米国の長期金利は上昇基調にあるのに対し、日本では日本銀行の長短金利操作の下で国債利回りの上昇は一部に限られている。ブルームバーグのデータによれば日米の10年債利回り格差は昨年11月初めの1.88%から、12月半ばには2.52%まで拡大。25日は2.40%で推移している。ヘッジコストは昨年11月末に1.91%まで上昇し、25日は1.58%。

  筒井社長は今年の市場動向について、トランプ大統領の政策や英国の欧州連合(EU)離脱過程、EU各国選挙の行方などの要因から、「不透明性は昨年より増している」と指摘。特にトランプ政権については「保護主義的な政策で、なおかつ日本を名指ししたようなドル高是正のスタンスがかなり濃厚に出てきた場合は、円高シナリオを想定しておかないといけない」 と述べた。

  同社長によると、17年のドル・円相場は1ドル=100円-125円のレンジ、12月末は期待感も込めて同120円と予想。25日は午前9時50分現在、同113円70銭前後で推移している。

  日銀のマイナス金利政策については、オーバーシュート型のコミットメントで「マイナス金利の長期化前提の下でいろいろな保険商品や資産運用の計画をしていかないといけない」と語った。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月、1年ぶりに利上げに踏み切った。FOMC参加者の17年の利上げ予測中央値によると0.25%ポイントの利上げが3回実施される。

  トランプ氏は20日の大統領就任以降、「アメリカ第一主義」を掲げて矢継ぎ早に通商政策の転換を示している。23日には環太平洋連携協定(TPP)を離脱する大統領令に署名したほか、日本を名指しして自動車貿易の不均衡を問題視する発言をした。ドル相場については、就任前の米紙とのインタビューで、米企業は競争できないとして「強すぎる」との見解を示している。

M&A

  海外生保と並び拡大分野の一つである資産運用事業の合併・買収(M&A)では、筒井社長は「債券に強いことは必須条件になる」と述べ、「運用人材が蓄積されている会社」を求めているとした。複数のアセットクラスに強く、債券以外にも代替投資(オルタナティブ)やインフラファンドなど新規領域での運用にも可能性を持つ会社が理想という。生命保険本業の資産運用力の強化と、個人や法人顧客の資産運用形成ニーズに応えるのが狙い。

  M&Aについては「短期目線ではなく超長期目線で考えており、今の環境に左右されることがあってはいけない」と述べ、変動率の高い市場環境に左右されずに当初の計画通り着実に進める方針だ。

  同社は買収した三井生命のほか、海外や資産運用事業からの利益で18年3月期300億円、25年3月期1000億円を目指している。15年3月に公表した経営計画では、1000億円達成のためには最大1兆5000億円の投資が必要とみており、既に三井生命とオーストラリアのMLC生命買収で約5000億円を費やした。16年9月期の同利益は174億円。

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