トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を正式表明したことで政治・経済の空白が生じるが、中国はそれを埋めるのに積極的だ。米国のTPP離脱は追い詰められている米製造業地域に恩恵を与える一方で、アジアにおける米国の威信を損なう。

  米国の外交政策の軸足を中東からアジアにシフトさせることを目指したオバマ前米大統領の試みに大打撃を与えるものでもある。

  トランプ政権がTPP離脱によりアジアとの距離を置こうとする中、中国共産党指導部はグローバル化の取り組みを強化し、自由貿易の長所を擁護する姿勢を打ち出している。習近平国家主席は先週、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会で演説し、保護主義を「暗い部屋に閉じこもる」ことになぞらえ、中国が地域的な貿易協定の交渉を目指す考えを示した。

  中国は16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を支持しているが、米国は現時点で参加していない。習主席ら中国の指導者は米国のリーダーシップ不在の空白を埋め、トランプ大統領の保護主義に乗じ、伝統的に米国の同盟国であるフィリピンやマレーシアなどとの関係強化を図っている。

  米通商代表部(USTR)で中国問題を担当した経歴を持つオルブライト・ストーンブリッジ・グループのバイスプレジデント、エリック・オルトバック氏は米国のTPP離脱の動きについて、「中国への巨大な贈り物だ。中国は今後、貿易自由化のけん引役として自国を売り込むことができるようになるからだ」と指摘した。

原題:Trump Withdrawal From Asia Trade Deal a Boon for China (Correct)(抜粋)

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