24日の東京外国為替市場のドル・円相場は、約2カ月ぶりのドル安値を付けた後、上下に振れる展開となった。市場関係者からは、トランプ新政権の政策をめぐって、相場への警戒と期待が入り混じった見方が聞かれた。

  午後3時52分現在のドル・円は前日比0.4%高の1ドル=113円15銭。朝方に一時112円53銭と昨年11月30日以来のドル安・円高水準を付けた後、113円台まで戻しては再び下げに転じるなど、上下に振れた。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数はほぼ変わらずの1244.53。一時は1240.76と昨年12月8日以来の低水準を付けた。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部・戦略トレーディング課の池島俊太郎課長は、「ドル・円は112円半ばが堅かったことで買い戻しが優勢になっている。基本的にはトランプ政権の走り出しは保護主義が先行するというのが想定されている中での発言ということで、下値をどんどん切り下げる感じではない」と指摘。「とはいえ、減税やインフラ投資というところで具体的な話がないこともあり、ドル・円は重くはなってしまう」と述べた。

  トランプ米大統領は23日、企業幹部との朝食会で、雇用を米国外に移転する企業には「極めて大規模」な国境税を課す方針を示した。また環太平洋連携協定(TPP)離脱の大統領令に署名し、北米自由貿易協定(NAFTA)も再交渉すると宣言した。同会合では、日本にも言及し、自動車貿易の不均衡をめぐり、「不公平だ」と批判した。24日には米三大自動車メーカーの首脳らと会談する予定。

  ムニューチン次期米財務長官は、上院議員からの質問に書簡で回答し、過度に強いドルは短期的にマイナスの影響を与える可能性があるとの考えを示した。

  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「ドル・円はムニューチン氏のドルについての発言に反応して下落したが、112円台ではそれなりに買いが集まっているようだ」と説明。「トランプ政権の保護主義的なスタンスが重しになっているほか、テクニカル的にセンチメントがあまり良くない」としながらも、「下値を追いかける感じでもない」と語った。

ドルと円
ドルと円
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米国では24日、議会予算局(CBO)が財政・経済見通しを公表するほか、マルバニー行政管理予算局(OMB)局長の指名承認公聴会が行われる。

  経済指標では12月の中古住宅販売件数が発表される予定。ブルームバーグ予測調査によると、前月比1.8%減少が見込まれている。11月は0.7%増加だった。

  三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)は、「来週になると米連邦公開市場委員会(FOMC)もあるし、少しずつ市場の視点もトランプオンリーといったところから分散していくと思う。経済指標やFOMCなどにもだんだん目が向いていくと思う」と述べた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年初のFOMCを1月31日と2月1日の2日間の日程で開催する予定。

  三菱UFJ信託銀の池島氏は、「米国が2回利上げを行うという期待は基本的に変わっていない。むしろ米2年債利回りの水準は2回利上げを少し切っているような水準にある。そういう中で政治的な発言で円が買われるのには限界はありそう」と分析。「過去2日間、米金利は低下しているが、OMB局長承認公聴会を受けた金利動向に注目したい」と言う。 

  ポンド・ドル相場は同時刻現在、0.4%安の1ポンド=1.2488ドル前後。朝方には、昨年12月15日以来のポンド高値となる1.2545ドルを付けている。英最高裁判所は24日、欧州連合(EU)離脱プロセスを開始するリスボン条約50条の発動に議会の採決が必要かどうか判断を示す。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、「議会の採決が必要との判断になれば、ポンドは一段のショートカバーで1.27ドル半ばまでの戻りが意識されるかもしれない」と見込んでいる。

  一方、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、「議会承認が必要との見方からポンド買い。ドルが弱いことも背景にある」としながらも、「対ドルで1.25ドル台まで上昇しているが、ここからの上値余地はあまりないと思う」と分析。「今後も、議会やメイ首相の発言を懸念して、ポンド売りが出るだろう。中長期的には1.20ドルを下回ってくるのではないか」と見込んでいる。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%安の1ユーロ=1.0742ドル前後。朝方に一時1.0772ドルと昨年12月8日以来の水準までユーロ高・ドル安に振れた。

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