米国債市場で大きな対決が迫りつつある。

  5年債先物のデータを見ると、ヘッジファンドや他の投機家で構成される「ファストマネー」は今月、相場に弱気な見方を過去最高に強めている。一方、投資信託や保険会社などの機関投資家で構成される「リアルマネー」は逆の見方を取り、強気なポジションを積み上げている。

  今後の相場展開は、とりわけトランプ政権下では誰にも分からない。だが、JPモルガン・チェースのジェイ・バリー氏によると、投機家は崩壊の種をまいているという。米国債相場は5カ月連続で下落したものの、ファストマネーの集団的な動きは信頼できる逆張り指標になる傾向があるという。バリー氏のデータでは、過去にこうした動きとなったケースの75%余りで、その後1カ月に相場が逆方向に動いた。最近の利回り上昇は既に、長期投資家を再び米国債に引き付け始めている。

  JPモルガンで米債券ストラテジストを務めるバリー氏は「投機家のデータが依然としてショートであることに驚いた」と述べた。

  こうしたポジションの違いは単なる意見の違いではない。重要なのは、米経済の方向性に関するより深い疑問を映し出している点だ。一部の投資家はトランプ米大統領をゲームチェンジャーと受け止めており、同大統領の歳出計画が経済成長の起爆剤となり、借り入れコスト上昇に拍車を掛けると見込む。一方で、人口動態や高い債務水準、所得格差が構造的要因となり経済成長は潜在成長率を下回り続けると見る向きもいる。

  バリー氏は短期や長期の米国債に比べて現時点で投資価値の高い5年債を投資家は買うべきだと指摘している。

必勝法?

  昨年7月前半以降、米5年債利回りは約2倍に上昇した。債券売りの大部分はトランプ氏が大統領選に勝利した11月以降に起きたもので、同氏の政策がインフレ率や米利上げの加速につながるとの観測が背景だった。

  リターンを高めるために借入金を利用するレバレッジド・ファンドは、債券安がさらに進むと見込んでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)の集計データによれば、レバレッジド・ファンドによる5年債先物のショートポジションはロングポジションを1月10日時点で110万枚上回り、過去最大の差となった。

  こうした手法は過去数カ月、必勝法だったが、機関投資家はひるんでいない。機関投資家は5年債のロングポジションを今月、過去最高水準に高めただけでなく、10年債や30年債でも強気なポジションを増やした。

  リアルマネーの投資家が総掛かりとなる時は、その純然たる規模からファストマネーの群衆を圧倒する傾向がある。

  シーポート・グローバル・ホールディングスで政府債トレーディング戦略を担当するマネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は、結局のところ「リアルマネーが常に勝つ」と指摘。「投機家はやられる傾向にある。金利が低過ぎると誰もが考えていたこの10ー15年に複数回、こうした状況が発生した」と付け加えた。

  プルデンシャル・ファイナンシャルのロバート・ティップ氏はリアルマネー陣営で最近の相場急落の機会に乗じている1人だ。同氏の予想では、トランプ氏の景気刺激策に対する債券市場の大げさな反応が薄れれば、米国債から離れた投資家が戻ってくるという。

原題:Beware the Hedge-Fund Wipeout in Treasuries as Bearish Bets Soar(抜粋)

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