23日の東京外国為替市場ではドル・円相場が大幅下落。トランプ米大統領の就任演説で経済政策の具体策が示されなかったことや保護主義的姿勢があらためて示されたことが嫌気された。米長期金利の低下や日本株の下落を背景に先週末の水準から1円以上ドル安・円高が進んだ。

  午後3時27分現在のドル・円は前週末比1.1%安の1ドル=113円35銭。先週末のニューヨーク時間午後遅くの114円台後半から114円台前半に水準を切り下げて取引を始めた後もドル売り圧力は根強く残り、正午前には一時113円44銭を付けた。午後は米金利の低下が一服するのに伴い下げ渋る場面も見られたが、欧州市場に向けては再び水準を113円26銭まで下げ、3営業日ぶりの安値を更新した。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純シニアファンドマネージャーは、トランプ氏の米大統領就任演説は具体策に乏しく、保護主義が前面に押し出されたもので、米金利もじりじりと低下するなど「トランプラリーは小休止が続いている」と指摘。「今後、財政政策などがスムーズに議会を通って出てくるか次第では、この小休止が小休止ではなく、ずっと続くリスクもあるだろう」と話した。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨全てに対して前週末比で上昇。ユーロ・円は2営業日ぶりに1ユーロ=122円台を割り込み、一時121円79銭まで円高が進んだ。また、トランプ大統領の北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉表明を嫌気して、カナダ・ドルは対円で1加ドル=85円27銭まで下落し、昨年12月5日以来の安値を付けた。

  一方、ドルは主要通貨に対して全面安となり、対ユーロでは一時1ユーロ=1.0755ドルと昨年12月8日以来の水準までドル安が進んだ。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、市場はトランプ新政権の具体的な政策を見極めていく時間帯に入ったが、先週末の就任演説ではあらためて保護主義色が非常に強いトーンが出ていたので、「為替に置き換えるとどうしてもドルの重しになりやすい」と話した。

  ホワイトハウスは大統領就任に合わせて更新したウェブサイトの声明で、「経済を再び軌道に乗せるため、トランプ大統領は向こう10年で新たに米国民2500万人分の雇用を創出し、4%の年間成長率に戻るための大胆な計画の概要を示してきた」と説明した。戦略として減税や規制緩和などを挙げた。また、貿易政策では、環太平洋連携協定(TPP)から撤退するとし、NAFTAの「再交渉にコミットする」と表明した。

  トランプ氏は20日の米大統領就任演説で「米国第一主義」の政策推進を表明し、財政支出や減税の詳細には触れなかった。

トランプ米大統領
トランプ米大統領
Photo by Alex Wong/Getty Images

  米新政権の保護主義的政策への警戒感が強まる中、先週末に2.47%だった米10年債利回りは一時2.42%台まで低下。金相場は2カ月ぶり高値へ上昇した。一方、日本株は下落し、日経平均株価は一時260円近く下げる場面が見られた。

  ナショナルオーストラリア銀行の通貨ストラテジスト、ロドリゴ・キャトリル氏(シドニー在勤)は、「市場はトランプと彼のチームの政策発表の影響を非常に受けやすくなるため、警戒が今週のテーマだ」と指摘。「トランプ氏が米国に繁栄をもたらすかどうかは現時点ではまだ分からない。グローバルな観点からは、彼の政策によって米国がより大きなシェアを手に入れることができるかもしれないが、もし世界貿易が減速するのなら、パイが大きくなることはないだろう」と話した。

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