金の価格を下回る割安な状態が続いているために、投資家の注目がプラチナに集まっている。需要の取り込みを狙い、個人向けに金地金のオンライン取引を手掛ける英ブリオンボールトは新たにプラチナ地金の売買サービスを開始するほか、東京商品取引所も3月に決済期限のないプラチナの新たな商品を上場する。

  ブリオンボールトは3月までに、まずは米国や英国など欧州の顧客向けにプラチナ地金の売買サービスを始める。その後、日本でもサービスを提供する予定。日本向けには少額の資金を一定期間にわたって投資していく積立て商品の提供も検討している。

  ブリオンボールトの日本市場責任者、ホワイトハウス佐藤敦子氏は「プラチナと金価格が逆転していることを投資機会と見る日本の個人投資家のプラチナ地金の投資需要は根強い」とし、「市場のポテンシャルは高い」と述べた。

  国内最大の地金商である田中貴金属工業によると2016年の同社のプラチナ地金の販売量は約15トン。過去最高を記録した15年に続き、過去2番目となる高水準を維持した。国内でのマイナス金利の導入や英国の欧州連合(EU)からの離脱決定などを背景に株式や為替相場が大きく変動した中、価格が比較的安定している安全資産として注目を集めた。

  田中貴金属工業・貴金属リテール部の加藤英一郎部長は「昨年のプラチナ地金の販売量は過去最高に迫る売れ行きで、2年続けて供給が間に合うかと心配するほどだった」と振り返る。「金との価格逆転が起きた時から注目度は一気に高まった。為替や株、債券の価格変動を補完する投資商品として関心を集めており、プラチナ価格が高騰しない限り、投資の選択肢の一つとして定着していく」との見方を示す。

  ブリオンボールトは昨年、プラチナの国際調査機関であるワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)と提携した。WPICの調査担当ディレクター、トレバー・レイモンド氏は昨年12月のブルームバーグとのインタビューで、「現在のプラチナ価格が割安だと認識することで欧米でもプラチナ地金への投資の動きは広まるだろう」と語った。

  WPICによるとプラチナが金価格を下回ったのは過去40年でわずか4回。「プラチナ価格がこれほど長い間、金価格を下回っていたことはなかった」とレイモンド氏は指摘する。15年の世界のプラチナ需要の用途は自動車や産業向けが約6割を占め、投資需要は3%にとどまる。一方、英トムソン・ロイターGFMSによると金の投資需要は約3割に上る。

  金とプラチナの国際価格の逆転は15年の1月からで、すでに2年に及ぶ。世界的な低金利や金融緩和などで資金の逃避先として金が注目される一方、自動車の排ガスを抑制する触媒に利用されるなど産業用途の比率が高いプラチナは世界の景気動向にも価格は左右される。

  世界の金鉱山の年間生産量が約3000トンに対してプラチナは200トンに満たない。こうした希少性もあり、過去大部分の期間においてプラチナは金価格を上回って推移してきた。クレジットカードのプラチナカードや、コンサートでのプラチナチケットなど、より価値の高いものを示す代名詞としてもプラチナは使われる。

  そのため「多くの人がプラチナが金よりも安いという事実を聞くとがくぜんとする。こういう事態は歴史的にみて極めて例外的」、と東商取の浜田隆道社長は指摘。プラチナ先物が取引されている同取引所では、3月21日に通常の先物商品とは異なり決済期限のないプラチナの限日取引を開始する。12日の会見で「決済期限がないことは長期投資に向いている。主力商品の一つに育てていきたい」と期待を寄せた。

  ブルームバーグのデータによると、今月予測を出したアナリスト8人による今年のプラチナ価格予想の平均は1オンス当たり995ドル、金は同1164ドルとなっている

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