23日の東京株式相場は4営業日ぶりに反落。トランプ米大統領の就任後に為替市場で円が上昇したほか、米国の保護主義傾斜を懸念する売りが広がった。輸送用機器や精密機器など輸出株、米金利の低下を受けた保険など金融株中心に東証1部33業種中、32業種が安い。

  TOPIXの終値は前週末比18.83ポイント(1.2%)安の1514.63、日経平均株価は246円88銭(1.3%)安の1万8891円3銭。両指数の下落率は17日に次いでことし2番目。

  富国生命投資顧問の奥本郷司社長は、トランプ大統領の就任演説では「雇用を取り戻すと明確に話しているが、輸入を抑えることや関税をかけることなどその内容を詰めるには材料不足。トランプ政権が不確実性の塊であることが明らかになっている」と指摘。政策に整合性がなければ、「期待値が剥落(はくらく)し、金利低下や円高、株安につながりかねない」と話した。

トランプ米大統領誕生
トランプ米大統領誕生
Photographer: Daniel Acker/Bloomberg

  きょうのドル・円相場は、一時1ドル=113円30銭台と18日以来のドル安・円高水準に振れた。20日のトランプ米大統領の就任演説で、減税など財政政策で具体的な内容が明らかにされず、保護主義的な姿勢も示されたことが材料視された格好だ。東京時間23日の時間外取引で、米10年債利回りは2.42%まで低下した。

  トランプ氏は演説で、アメリカファースト(米国第一主義)を掲げ、「権力をワシントンDCから移し、あなたたち国民に戻す」などと表明。また、大統領の政策は年4%の経済成長の達成を目指すものだ、とホワイトハウスが大統領就任に合わせ更新したウェブサイトの声明で明らかにした。ウェブサイトでは、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉にコミットすることも明記した。

  東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、「減税やインフラ投資などトランプ氏の政策が実行されれば、自然と円安要因になる」とした半面、「保護貿易に対する懸念がクローズアップされる局面となれば、一時的に円高に振れやすくなる」との懸念も示す。就任演説では、「自国第一で世界の安定については考えていない」ことが確認されたと言う。

  週明けの日本株は朝方から内外需セクターに幅広く売りが先行。午後半ばにかけやや下げ渋る場面もあったが、大引けにかけ再度円高基調が強まると、再び下げ足を速めた。TOPIXの押し下げ寄与度トップは輸送用機器。東洋証券の浜田亨征ストラテジストは、トランプ氏から「保護主義が打ち出された。対外交渉は冷静に行うとみていたが、内向きな姿勢で一方的な表明をした」と分析。日本企業は自動車業界などがメキシコに投資しており、「NAFTAがなくなれば、予想した利益が出ないかもしれない。米国市場は大きく、関税を高くしたり数量制限をすれば、日本企業の業績下振れ要因になる」と警戒する。また、金利の先行き不透明感から、金融株にとどまらず、金利敏感業種の

不動産株も下げた。

  ただ市場では、相場の先行きをなお楽観視する向きが多いのも事実だ。富国生命投資顧問の奥本氏は、「米国や日本のマクロは想定したより上にきており、株式市場全体としては中期底上げが期待される」としている。

  東証1部33業種はその他金融、保険、不動産、輸送用機器、小売、精密機器、海運など32業種が下落。金属製品1業種のみ上昇。売買代金上位では、大塚ホールディングスやトヨタ自動車、ファーストリテイリング、KDDIが安い。半面、半導体支援でキヤノンや外資系ファンドが名乗り、と20日に共同通信が報じた東芝は大幅高。有機ELで中国企業と交渉中のブイ・テクノロジーは急騰した。東証1部の売買高は17億7770万株、売買代金は2兆2005億円。値上がり銘柄数は375、値下がりは1554。

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