米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は19日、米金融当局がインフレ圧力の抑制で後手に回っていないと述べ、緩やかに金利を引き上げる戦略を支持する考えを示した。ただ、景気の過熱を容認することはできないとした。

  イエレン議長はカリフォルニア州のスタンフォード大学経済政策研究所で行った講演のテキストで、「金融政策のスタンスを時間をかけて徐々に調整するのが賢明だと考える」と述べた。一方で、こうした見通しをめぐってかなりの疑念があることを強調した。

スタンフォード大で講演するイエレン議長
スタンフォード大で講演するイエレン議長
Photographer: Pete Marovich/Bloomberg

  同議長はドナルド・トランプ氏の大統領就任式を翌日に控えた講演で、財政政策の将来の変更について、今後の金融政策の策定に当たり当局が取り組む必要のある多数の不確実性の1つにすぎないと指摘。こうした変更の規模や時期、構成が不明なだけでなく、経済への影響に関する財政専門家の予測も相当多岐にわたると講演テキストの脚注で補足した。

  BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、ローラ・ロスナー氏(ニューヨーク在勤)は「イエレン議長は経済が過熱していると受け止めていない。議長講演からは3月に利上げする強いシグナルは見当たらない」と指摘した。

  イエレン議長は米金融当局が後手に回っていないと主張する裏付けとして、賃上げのペースが「緩慢なものにとどまり」、製造業部門の稼働率が能力をかなり下回っている点を挙げ、こうした状況がすぐに変わることはないとの見方も示した。雇用の伸びは鈍化しており、外需の弱さや予想される緩やかな金利上昇を踏まえると、経済成長が「著しく上向く可能性は当面低いと見受けられる」と述べた。

  一方で、景気過熱やインフレ期待が制御不能になる事態を許容することの危険性を認め、「経済が著しく熱い状態が続くのを容認するのはリスクを伴い賢明でない」と語った。

「受動的」解除

  緩やかな利上げアプローチを支持する論拠には、FRBのバランスシートを通じた金融緩和策の「受動的」解除と議長が呼んだ要素もある。

  議長は講演テキストの別の脚注で、連邦準備制度が保有する債券の平均残存期間が短くなり、バランスシートを最終的に縮小していくアプローチを取れば、米10年債利回りは今年の場合15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇する可能性があると分析した。これはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の0.25ポイント引き上げ2回分にほぼ匹敵するという。議長はバランスシートを縮小し始める時期については言及しなかった。

  議長はまた、前日の講演で達成に近いと述べた完全雇用と物価安定という2つの目標について詳述。「緩やかなペースでの景気拡大が続くと見込まれる中、今後数カ月で労働市場はさらに強くなると予想する」と述べ、「好調な労働市場」に支えられインフレ率は今後2年程度で当局の目標とする2%に押し上げられるとの見通しを示した。

原題:Yellen Backs Gradual Rate Rises as Fed Not Behind the Curve (1)(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE