レーシー・ハント氏はある時代の体験者だが、そうした人物は米ウォール街ではもう数少ない。

  同氏は若手の債券運用者として、米国でインフレが高騰し、ニクソン大統領が賃金・物価凍結を含む政策を発表後の1970年代後半に弱気相場がやってくるのを目の当たりにした。顧客に大もうけさせたと同氏が語るこの時代はしかし、債券値下がりが持続する最後の時期だった。現在74歳のハント氏は、そうした時代に債券取引の経験がある数少ない現役の運用者だ。

  インフレ兆候の表面化が始まり、次なる弱気相場がやってくるのではないかと金融業界が騒がしくなる中で、現在はホイジントン・インベストメント・マナジメントでチーフエコノミストを務めるハント氏は肩をすくめ、「状況は大して変わっていない」と語る。貨幣の流通速度と呼ばれる、やや古い指標を活用する同氏はドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利後の債券相場下落について、長期化する上昇相場の一時反落にすぎないと確信している。

  貨幣の流通速度とは、経済活動のために貨幣が一定期間に用いられる回数のことで、名目GDP(国内総生産)を通貨供給量で割って算出する。この速度を米国でM2を基に割り出すと、過去最低の1.44回に下がっている。1997年のピーク時は2回を超えていた。これはハント氏ら債券強気相場の継続を予想する向きには、民間セクターが金融危機後に投資よりも現金抱え込みを選び、数年にわたる量的緩和の後でもインフレが引き続き抑制されることを意味する。

  ハント氏は「債務が高水準でますます逆効果に働く場合、経済史から学ぶ最重要の教訓とは貨幣の流通速度の低下だ」とし、「私は今でも債券を買い持ちにしている。特に期間長めの債券についてそうだ 」と明かした。同氏は36億ドル(約4100億円)相当の資産運用に携わる。「ワサッチ・ホイジントン米国債ファンド」(運用資産3億800万ドル)は過去3-5年の運用成績が同種のファンド9割余りを上回り、今年これまではプラス1.7%。

原題:Bond Guru Who Called Last Bear Market 40 Years Ago Says Go Long(抜粋)

  

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