官製春闘と揶揄(やゆ)されながらも、企業に対し賃上げを求めてきた安倍晋三政権。目標としているデフレ脱却の時期が見通せない中、労働者全体の約4割を占める非正規雇用労働者の待遇改善に取り組み出している。

  正社員と非正規労働者の格差が如実に表れているのが賃金。厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査による一般労働者の月給を時給に換算して比較すると、正社員が1958円なのに対し、非正規労働者はその6割程度の1258円にとどまる。パートなど非正規の短時間労働者は1044円とさらに低い。

  非正規労働者に対する各種手当や福利厚生の適用割合も、正社員を大きく下回る。厚労省の調査によると、賞与制度があると回答した非正規労働者の割合は31%となっている。また、同省の別の調査によると、正社員とパートの両方を雇用している事業所で、パートに定期的な昇給を行っている事業所の割合は28%、住宅手当を支給している割合は2%にとどまる。

  政府は、昨年12月に働き方改革実現会議の会合を開き、非正規労働者と正社員の待遇格差を是正するための「同一労働同一賃金ガイドライン案」を示した。同案では、賞与について、会社の業績への貢献度が同じなら正規・非正規にかかわらず同一の金額を支給すべきだと明記。また、通勤手当や時間外労働手当などの諸手当や慶弔休暇などの福利厚生も必要とした。

  賃金が伸び悩むことで消費の重しとなり、安倍政権が目指す経済再生の足を引っ張っている。エコノミストの中には正社員に対する解雇規制の緩和など労働市場改革をさらに進めるよう促す意見もある。安倍首相は「非正規という言葉をなくしていきたい」と再三述べており、政府はガイドライン案をもとに必要な法改正を進めていく方針だ。

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