英国の欧州連合(EU)離脱に伴うバンカーの移転先は、学校が決め手になるかもしれない。

  3月末までにEUに正式な離脱通知を行う予定のメイ英首相は単一市場から撤退する方針を明らかにし、欧州の主要都市の間では金融機関をロンドンから誘致しようとする競争が激化。そうした中でこれまではオフィススペースの確保やEU市場へのアクセスのほか、生活費が下がる可能性の方にばかり目が向いていた。

ロンドンの金融街
ロンドンの金融街
Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  だが、バンカーが英国外で新しい生活を始めるということは、その子供にとっては学校を変わることを意味する。インターナショナルスクールの関係者によると、パリやダブリン、マドリードで生徒枠に関する問い合わせが既に増えている。

  マドリードの北にある英国系スクールで生徒数が約850人のラニーミード・カレッジのフランク・パウエル校長は「3週間程度の間に、ロンドンの金融業界で働く人の家族20組程度から問い合わせがあった。まったく異例なことだ」と話す。「そのほぼ全員がマドリードに転勤するかもしれないと前置きしてきた」と付け加えた。

  英EU離脱で実際どうなるかはまだよく分からない。金融街シティーのロビー団体「ザ・シティーUK」の委託でコンサルタント会社のオリバー・ワイマンが昨年10月にまとめたリポートによると、離脱でリスクにさらされているバンカーは7万人近く。銀行側はロンドンから金融商品やサービスをEU域内で自由に提供できる「パスポート制度」の維持を望んでいる。

  英銀HSBCホールディングスのスチュアート・ガリバー最高経営責任者 (CEO)は今週、英EU離脱のあおりで、ロンドン投資銀行の収入の約20%に相当するトレーディング業務をパリに移す可能性があると語った。「特にEU法が適用される業務が移転の対象になるだろう」と、ダボスでブルームバーグテレビジョンに対して述べた。

  ロンドンから移転の対象となる業務に従事するバンカーの行き先を決定付けるのは魅力的なライフスタイルかもしれないが、違いを決めそうな要因の一つは学校だ。

  「個人が主に考えるのは学校と家族についてで、これらの点でロンドンをしのぐ都市を見つけるのはなかなか難しい」と指摘するのは、幹部あっせん会社パー・アーデュア・アソシエーツ(本社ロンドン)のディレクター、ジェイミー・リッソジル氏だ。「ロンドンは長年かけてそうした環境を整えてきた。同じような環境を提供できるライバル都市を思い付かない」と話した。

原題:Brexit Destination for Bankers May Hinge on School for the Kids(抜粋)

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