日本銀行が現在行っている年間約6兆円規模の指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れについて、市場機能を損なうとの懸念から市場の一部で買い入れを縮小すべきではないか、との声が出始めている。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの推計によると、日銀のETF保有額は昨年11月末時点で12.8兆円に達し、ETF市場の3分の2を占めている。今年はさらに6兆円買い増すことになるが、これはETF市場のこれまでの1年間の市場規模拡大ペースを上回っている。

  日銀は昨年7月の金融政策決定会合で、欧州連合(EU)離脱派が勝利した英国民投票後の株価下落などを受け、ETFの年間買い入れ額を3.3兆円から6兆円にほぼ倍増した。しかし、昨年11月の米大統領選以降、日経平均株価が上昇していることや、日銀の買い入れが市場機能をゆがめているとの懸念から、買い入れ額の縮小が取り沙汰されるようになった。

野村、ブラックロックが減額予想

  野村証券の松浦寿雄チーフストラテジストらは10日付のリポートで、日銀が何を目的にETFの買い入れを行っているか、もはやよく分からないと指摘。日銀の過度なリスクテークによって含み損の可能性が疑われれば日銀への信頼感は大きく低下し、金融政策運営上の自由度も大きく損なわれるとして、4月会合で買い入れを1兆-1.5兆円減額すると予想した。

  ブラックロック・ジャパンの福島毅チーフ・インベストメント・オフィサーは「7月か、少し手前ごろに減額していく選択肢も使うべきではないか」と言う。購入額は1回750億円程度に上り、長く続けると「市場をゆがめ、株価がファンダメンタルズを反映できなくなってしまう」ため、「どこかでテーパリングせざるを得ないのではないか」とみている。

  ブルームバーグ・インテリジェンスによると、日銀のETF購入は株価が下落した際に行われる傾向にあり、株価下落のペースを緩和する効果がある。日銀のETF保有額は上場株式の時価総額の2%程度。必要あれば日銀が望む分だけ追加発行は可能で、技術的な問題はないという。

  市場流動性の低下や価格形成のゆがみもみられるが、債務超過となるリスクは低く、政治的リスクを勘案して直ちに減額に踏み込む可能性は低いと予想している。
 

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日銀は減額に慎重

  事情に詳しい関係者によると、日銀は現段階でETF減額の必要性を感じていない。買い入れによって市場メカニズムや日銀のバランスシートへのリスクが上昇することは認識しているが、続けることの利益がコストを上回っているため、減額する必要はないとの立場だ。

  黒田東彦総裁は昨年12月の会見で、「今の時点でETFの買い入れを減らすという判断は適切ではない」と言明。市場や物価の動向によって金融政策全体の中で考えていくことであり、「ETFだけ取り出して、株価が上がったから止めるとか、株価が下がったら拡大するとか、そうしたことは考えていない」と述べた。

減額に懐疑論も

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは11日付のリポートで、日銀が早いタイミングでETF買い入れの減額に動けば、「需給面から日本株売り材料になり、株高・円安による景気・物価押し上げシナリオをとん挫させてしまう恐れがある」と指摘。「年内というような近い将来のETF買い入れ減額は可能性が非常に小さい」とみている。

  その上で、「『トランプラリー』が行き詰まり、株価が内外でまとまった幅で下落する場合、ETF買い入れ減額説は自然に消滅するだろう」としている。

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