日本株はいま、アベノミクス相場下でパフォーマンスが米国株を上回る3度目の波に乗っている。世界景気敏感株としての位置づけが追い風となる日本株に対し、金利上昇がネックとなる米国株は次第に上値が重くなり、波はさらに高くなる可能性がある。

  TOPIXを米S&P500種株価指数で割ったTS倍率は昨年7月に0.57で底打ちし、12月16日には0.69まで上昇した。TS倍率は高いほどTOPIXのパフォーマンスがS&P500種に比べて良好なことを示す。1月19日時点でも0.68と高値圏を維持しており、2015年8月に付けた0.81が視野に入っている。

  アベノミクス相場での日本株優位は、12年後半から13年前半にかけての「第1波」、14年半ばから15年半ばまでの「第2波」以来。東京海上アセットマネジメントの橋爪幸治シニアファンドマネジャーは、第1波を「金融緩和での円安や財政期待」、第2波を「コーポレートガバナンスなどで日本企業が変わるとの期待や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買いに合わせて投機的な買いが入った」ことが背景だったと振り返った。今回は「円安」が原動力と言う。

  昨年11月の米大統領選後、米金利上昇による日米金利差拡大から1ドル=118円台までドル高・円安が進んだ。それまでは100円台前半で推移していた。楽天証券経済研究所の香川睦シニアグローバルストラテジストは「世界経済の低成長・デフレ・円高という流れが成長率回復・インフレ・円安に変わり、グローバル経済の見通しが改善する中で、世界で最も景気に敏感な日本株の見直しがさらに進むだろう」と予想する。

「春」のスイッチに妙味か

  ゴールドマン・サックス証券の日米株価見通しでは、米S&P500種株価指数が6日終値と比較して3カ月後に6%高、12カ月後に1%高と低下するのに対し、TOPIXは3%高、7%高と伸びる。同証では日本の1株利益成長率は16年度の9%から17年度に12%に拡大、米国は同5%から10%と予想する。17年度ベースのPERは6日時点で日本が15.1倍、米国は19.6倍。

  ゴールドマンのキャシー松井チーフ日本株ストラテジストは、経済対策を支援材料とする堅調なマクロ環境や利益成長の持続が17年の日本株の評価ポイントだと指摘。日米株の想定パフォーマンスの違いは、金利上昇による資本コストの上昇で米国株の高いバリュエーションが低下することだという。日米株で運用するなら、米国株から日本株へのスイッチのタイミングは「春ごろ」が最適だろうと話した。 

今回は米国の政策がカギ、ドル高容認はいつまで

  TS倍率の上昇第3波は以前の2回と異なり米国の政策に依存するところがあるため、持続性が読みにくい面がある。岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは「経常赤字の米国が拡張的な財政政策を採ってインフラ投資を進め、減税するなら、海外から資金を呼び込むには高い金利が必要」と指摘。金利上昇に伴うドル高をトランプ新大統領が「どこまで容認するのかが一番の肝。ドル高を容認している間は日本株の優位が続く」との見方だ。

日米の紙幣
日米の紙幣
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは「景気がそこそこ強い中で景気刺激策が打たれるなら、財政と金融のサポートがしっかりしている日本株が相対的に強い」と考える。逆に、「米国第一主義が行き過ぎると日本企業に悪影響が出るとの見方が台頭し、投資資金の米国回帰が強まる」とも指摘した。

  岡三アセットの前野氏は、ドル高・金利上昇が米企業の景況感を悪化させ、「ブルーカラーのリストラにつながった途端にドル安政策に転換する恐れがあり、それが日本株のピークになる可能性が高い」とみる。ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは、もし新政権の財政拡張が大規模にならなかった場合、「米長期金利の水準はいいところまで来ており、年前半はドル高の反動が出るかもしれない。その場合は6割の確率でTS倍率は近々ピークアウトする」と予想する。

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