債券相場は下落。長期金利は1カ月ぶりの水準まで上昇した。この日に実施された5年利付国債の入札が低調な結果となったことを受けて売り圧力が強まった。

  19日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値を1.5ベーシスポイント(bp)上回る0.06%で寄り付いた。午後に入ると水準を切り上げ、一時0.075%と昨年12月19日以来の高水準を付けた。5年物の130回債利回りはマイナス0.105%と5日以来の水準まで上昇した。

  超長期債も安い。新発20年物の159回債利回りは一時0.615%、新発30年物53回債利回りは0.765%と、それぞれ12日以来の水準まで売られた。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、5年債入札について、「マイナス金利の深掘り観測が吐き出される中では、マイナス0.1%を下回る金利水準で需要は見えてこない」と指摘。「基本的に5年債は相場全体への影響が少ないが、今回は先物も反応して売り圧力が強まる格好となった」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比14銭安の150円18銭で開始。いったん150円20銭まで値を戻した後はじりじりと水準を切り下げた。午後は入札結果を受けて150円00銭と5日以来の水準まで下落。結局は23銭安の150円09銭で引けた。

5年債入札

  財務省がこの日に実施した5年利付国債の入札(130回債リオープン発行、表面利率0.1%)は、最低落札価格が101円01銭と、市場予想の101円06銭を下回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.66倍と前回4.48倍から低下。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は6銭と昨年2月以来の水準に拡大した。

5年債入札結果はこちらをご覧下さい。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「5年債入札は予想外の弱さだった」とし、「タイミングが悪かったというのが一番大きいのではないか」と指摘。「参加者がほぼ海外投資家になる中で、今日のムニューチン次期米財務長官の公聴会と明日のトランプ新大統領の就任演説で世の中が変わる可能性があり、手控えたのではないか」と言う。

  大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは「入札は低調。投資家需要に欠ける中、業者中心の応札だったと言える」と説明。ただ、「業者間でカバー需要の強弱がかなりあったのではないか。月末までに日銀に1.26兆円程度吸収される見込みなどもあり、現水準からの5年国債の下値は限定的になるとみている」と言う。

米要人発言を見極め 

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Bloomberg

  この日はムニューチン次期財務長官が上院財政委の指名承認公聴会に出席する。明日はトランプ第45代大統領の就任式が控えている。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米大統領就任式を待つという大きな流れは変わらない」とし、「国内外で米国の景気拡大と金利上昇が意識され、日本経済へも波及するとの見方から、債券の上値は重くなっている」と説明。「トランプ氏の経済政策をめぐる不透明感は残るものの、今年は景気回復の1年になりそうだ」と言い、「米政権発足後、まだ言及されていないインフラ投資を含め、具体的な動きを見極めていく展開だろう」と付け加えた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は18日の講演で、「私と同僚の大半が」先月、2019年末にかけて「年数回」の利上げを予想していたと述べた。同日の米国債市場では、12月の米消費者物価指数(CPI)や軟調な欧州債も売り材料となり、10年債利回りは一時2.43%台と、5日以来の高水準を付けた。

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