ホテルチェーンのアパホテルが南京大虐殺や慰安婦の強制連行を否定する書籍を客室に置いていたことがきっかけとなり、中国人観光客の宿泊予約サイトなどに影響が広がっている。

  都内のアパホテルに宿泊した米ニューヨーク大学の中国人と米国人の学生2人が12日、部屋に備えられていた英語書籍が南京大虐殺などを認めない立場を取っていることを中国のSNS「微博(ウェイボー)」で紹介。「30万人の南京大虐殺は理にかなわない」などと書かれていると訴えた。この動画が中国のネット上で拡散し、中国メディアからも非難の声が上がった。

  中国人向け旅行会社、日本華王国際は16日付のウェイボーで、アパホテルを運営するアパグループが備え付けの書籍を回収し、公開謝罪するまではアパグループとの協力を休止し、予約業務や宿泊客へのサービス提供を行わないとの声明を発表。中国の旅行予約サイトの芸龍旅行網(イーロング)では、18日時点の検索結果から、以前は表示されたアパホテルが外れている。

「右翼背景」

  動画で取り上げられたのは、アパグループの元谷外志雄代表が書いた書籍。同じく同氏の著作「誇れる祖国『日本』」、「誰も言えない国家論」なども同ホテルの部屋に備えられてるとして、中国政府系の環球網はこれらを「右翼背景」の書籍だと報じている。

  アパグループは17日、こうした書籍を客室から撤去する考えがないとウェブサイト上に掲載。「特定の国や国民を批判することを目的としたものではなく、あくまで事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたもの」だと説明した。

  両国政府にも波紋が広がっている。中国外務省の華春瑩報道官は17日、「日本国内の一部勢力は歴史を正視しようとしない。正しい歴史観を国民に教育し、実際の行動でアジアの隣国の信頼を得るよう促す」と述べた。一方、菅義偉官房長官は18日の記者会見で、「中国外交部報道官の発言ひとつひとつに政府としてコメントすることは控えたい」とした上で、「日中両国は国際社会が直面する共通の課題、そして未来志向に向けて取り組んでいる姿勢を示すことが重要」だと述べた。

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