自民党の甘利明前経済再生担当相は、米国にとって環太平洋連携協定(TPP)は市場拡大が予想されるアジアへの「通行証」だと指摘した上で、トランプ次期政権の4年間で米国に再度TPPを推進するよう翻意を促すことは「十分可能」との考えを示した。

  甘利氏は18日、ブルームバーグのインタビューで、中国をめぐり指摘されてきた不透明な輸出補助金や技術移転の強要などの通商問題を「払しょくするのがTPPだ」と説明。トランプ氏は「ビジネスマン出身だから、問題認識がきちっとできれば、行動は早い」と期待を示した。トランプ氏はこれまで大統領に就任する20日にTPPからの離脱を表明する意向を明らかにしている。

甘利明氏
甘利明氏
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  甘利氏は米国が求めてくる可能性のある再協議には否定的だ。「TPPはガラス細工。1つ外すと全体が崩れてしまう」として、現在の合意内容のまま発効すべきだと主張。同時に、発行後の協議には応じる考えを示した。また、米国以外の参加11カ国が国内手続きを終えた上で米国の翻意を待つべきだと話し、一部で浮上している米国抜きの発効は望ましくないと話した。

  甘利氏は安倍晋三首相の最側近の1人。TPP担当相として米国などとの交渉にあたり、15年10月に大筋合意までこぎ着けたが、週刊誌に事務所の政治資金問題が報じられた責任を取って翌年1月に辞任した。甘利氏はこれまでの交渉について「国が発展する中であるべき姿をルールで作った。終わってみると、よくぞこんなバランスの取れたものができたと思う」と振り返り、発効のめどが立たない状況について「もったいない、ものすごく」と語った。

TPP

  甘利氏は貿易や投資をめぐるルールは「多国間協定でないとできない」と説明。2国間協定では、企業が国ごとに異なるルールに対応しなければならず、効率が悪くなると指摘した。トランプ氏が意欲を示す2国間の貿易協定については、「日米で経済について話し合う機会は大事だ」としたものの、「日米自由貿易協定(FTA)という枠で考えるべきではない」と述べた。

  中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について甘利氏は「アメリカ外しの貿易協定」と表現する。RCEPはTPPよりもルールの水準が低くなるとみられている中、TPPをRCEPのひな型にする必要があると話し、「日本はRCEPの先行を歓迎しない」と語った。

  欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉については、欧州各国で国政選挙が始まる3月よりも前に大枠での合意を実現しなければいけないと述べた。EU離脱後に英国がTPPへの参加を希望する場合、「検討すればいい。門戸を広げていく協定だ」と受け入れる考えを示した。

  甘利氏は「貿易はゼロサムではなく、すべての国がプラスになる」と訴え、保護主義的な政策は問題解決につながらないとの認識を示した。

トランプ政権

  トランプ氏は自動車業界に対してメキシコからの工場移転を要請するなど、米国の製造業保護と雇用確保に力を入れる。これについて甘利氏は「中長期的にはアメリカの足かせになる」と批判。古い産業形態を保護するよりも、情報産業など今後成長が見込める産業への投資を促すべきだと話した。

  トランプ氏が主張する法人実効税率の引き下げについては、「国際競争になる」と懸念を示す。各国が協調する必要があるとして、主要7カ国(G7)や主要20カ国(G20)で議論するべきだと語った。

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