日本銀行は金融緩和の一環として年間6兆円ペースでのETF購入を行っている。リスクプレミアムと市場ボラティリティの低下を狙う一方で、ETF市場における日銀の保有残高は3分の2にも及ぶとみられる。その高まる存在感のコストとして、市場流動性の低下、価格形成の歪(ひず)み、保有する株式の企業へのコーポレートガバナンスなどが懸念される。日銀のETF購入ペースの減額の必要性を訴える声も聞かれる。

日銀本店
日銀本店
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ブルームバーグ・インテリジェンスでは、直ちに減額に踏み込むことはむしろリスクが高いとみる。物価は2017年に入りようやく明確に上昇に転じることが見込まれるタイミングで、日銀が自転車のペダルの踏み込みペースを緩めるのは難しい。日銀のETF保有額は東証の株式の時価総額の2%程度であり、必要であれば日銀が望む分だけ追加発行可能で、技術的な問題には直面していない。市場流動性の低下、価格形成の歪みの兆しは見られるが、日銀は喫緊の課題ではないとみる可能性が高い。

  • 日銀のETF購入は株価が下落した際に行われる傾向があり、株価下落のペースを緩和する効果がある。
  • 一方で、価格形成の歪みもみられる。昨年8月にETF購入額が増額された際には、価格変動の相関が高い米国S&P500や円の対ドルレートとの相関が薄れた。
  • 日銀が現状のペースでETF購入をする上で技術的な問題には直面していない。
  • 日銀の保有額は昨年11月末時点で12.8兆円に達し、ETF市場の3分の2のシェアは池の中のクジラに見えるが、日銀の購入に合わせて発行額は増加するため、池はクジラに合わせて大きくなる。
  • 上場株式の時価総額に対する日銀の保有額の割合は2%程度でETFの原証券を調達する海は大きい。
  • ただし、ETFの原証券となる株式は債券と異なり償還されないため、政策継続に伴うリスクは時間とともに高まる。ETF購入の減額や売却に伴う出口戦略の際には、株式市場の下落リスクに加え、日銀保有ETFの損失に直面することになる。
  • 日銀のETF保有の昨年12月末の含み益は購入額の2割以上と推計され、日銀の資本相当額の7.7兆円との比較勘案で、債務超過となるリスクは低いが、政治的リスクを勘案して直ちに減額に踏み込む可能性は低い。

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JAPAN INSIGHT: BOJ Can Become a Bigger Whale in Japan’s ETF Pond

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