米ディシジョン・エコノミクスのアレン・サイナイ社長兼最高経営責任者(CEO)は、日本の政策当局は円相場をめぐりトランプ次期米政権と衝突する事態を懸念する必要はないとの考えを示した。

  サイナイ氏は17日、東京都内でブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、トランプ次期政権は外国為替相場の水準決定を市場に委ねる公算が大きいとの考えを示した。サイナイ氏は当局者と会うために東京を訪問中。

  トランプ氏は11日の記者会見で中国や日本、メキシコに対する米国の貿易赤字に言及したが、この分野で一段の圧力を加えるようなことがあれば、上向きつつある日本企業の景況感は損なわれかねない。米財務省は外国為替報告書で日本を「監視リスト」に指定し、通貨問題は両国間の緊張の一因となっている。

  サイナイ氏は「日本の財界には歴史的な理由から、円安に対する政治的抵抗を心配する動きがある」とした上で、「私としては米国の政策当局によるけん制の動きをあまり憂慮していない」と話した。

  また、トランプ氏の政策案で米国の成長率とインフレ率が押し上げられ、米金融当局は年内に最大4回の利上げに踏み切るともサイナイ氏は予想。これによりドル相場は一段と上昇し、対円で年末までに1ドル=135円に達する可能性もあるとしている。

日本経済を楽観

  日本経済の見通しについて、サイナイ氏は楽観的な立場を表明した。米経済の成長の勢いが強まれば輸入需要の拡大を意味するとして、トランプ氏の景気刺激策で日本など他国も恩恵を受けると説明。「米国の成長加速を受けたドル高・円安は日本経済にとって実際に強材料となる」と述べ、「日本の将来は過去20年で最良と見受けられる」と語った。

  サイナイ氏はさらに、日本銀行がゼロ金利政策を維持し、日本政府が何らかの財政刺激策を講じると想定すれば、2017年の日本の成長率は1.5-1.75%、18年には2%に達すると予想。この数字は、国際通貨基金(IMF)が16日公表の最新の世界経済見通しで示した数字を大きく上回る。IMFは17年の日本の成長率が0.8%となった後、18年には0.5%に鈍化すると見込んでいる。

  日本はデフレからの持続的な脱却を果たし、インフレ率は低位ながらも上昇するだろうともサイナイ氏は予想。自身の見通しはトランプ氏の政策がタイムリーな形で実施されることを前提としているとしつつも、ビジネスマンとしてのトランプ氏の経歴を考えれば、同氏の計画は早急に明確になるだろうとみる。

  「彼らは時間を浪費しない。ビジネスマンや金融関係者のメンタリティーは『昨日のうちに済ませておけ』だ。これはワシントンがこれから経験する大きな変化で、世界はまだその準備ができていない」とサイナイ氏は語った。

原題:Yen Unlikely to Draw Japan Into Conflict With Trump, Sinai Says(抜粋)

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