17日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=113円台前半まで下落。この日のメイ英首相の演説への警戒感やトランプ次期米政権の経済政策の不透明感などを背景に、リスク回避に伴うドル売り・円買いが優勢となった。

  午後3時35分現在のドル・円相場は前日比0.7%安の1ドル=113円38銭。午後に入り一時113円33銭と昨年12月8日以来の円高・ドル安水準を更新した。ドルは主要通貨に対して全面安となっている。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部為替市場課の一口義仁課長は、ドル・円について、「メイ英首相の演説やトランプ米次期大統領の就任演説などを控えている中で、リスクオンの巻き戻しの動きの範囲にある」と説明した。ただ、「短期勢は一部売り回転でいるところもあるかもしれない。その意味では、メイ英首相の演説後には材料が一つ減るということで、ドル・円は戻す可能性もあるだろう」とも語った。

  17日の東京株式相場は続落。日経平均株価は前日比281円71銭安の1万8813円53銭で引けた。終値で1万9000円の大台を割り込んだのは先月9日以来。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、ドル売り材料として、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、トランプ次期米大統領が共和党の国境税調整案は複雑過ぎると述べたことが材料視されている」と話した。

  また、SMBC信託銀行金融商品開発部シニアマネジャーのシモン・ピアンフェティ氏(東京在勤)も、WSJ紙の報道を受けてドル売りが加速したとした上で、これまでドルは強過ぎたのでアルゴリズム取引につながったと分析。「欧州時間が始まり、ドル・円の下値模索を確認するには、113円12銭を下回る必要がある」と述べた。

  事情に詳しい関係者によれば、メイ英首相は17日の演説で、英国が欧州連合(EU)単一市場から撤退する見通しだと表明し、EUとの全く新たな貿易関係を求めることを明らかにすると見込まれている。また英最高裁判所は月内に、離脱プロセスを開始するリスボン条約50条の発動に議会の採決が必要かどうかを判断する。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、メイ英首相のこの日の演説に加え、トランプ次期米大統領の就任式を20日に控えて先行き不透明感が強いことも挙げ、「市場は慎重にならざるを得ないため、ドル買い・円売りになりにくい。今週はドルは上値が重い展開だろう。下は112円程度、上は115円程度のレンジか」と述べた。

  米国では17日、ニューヨーク連銀のダドリー総裁とサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が講演する予定。
  
  ポンド・ドル相場は同時刻現在、0.5%高の1ポンド=1.2112ドル前後。前日には英国のEU離脱をめぐる懸念を背景にポンドが下落し、一時1.1986ドルと昨年10月7日以来のポンド安・ドル高水準を付けた。ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.5%高の1ユーロ=1.0656ドルで推移している。

メイ英首相
メイ英首相
Chris Ratcliffe/Bloomberg

  BBHの村田氏は、「ソフトブレグジット期待から今までポンドは高過ぎた。市場はブレグジットに対して楽観的過ぎた」と説明。「メイ英首相の演説を受けてポンドが買い戻されても、同じようなイベント・発言で長期的には1.20ドルを下回る水準が定着していくと思う。50条申請期限の3月末までには1.18ドル程度まで下がる余地は十分あると思う」とみている。

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