ドナルド・トランプ氏は20日、第45代米大統領として就任演説を行う。演説では、メッセージを簡易に保つ同氏の手腕が-一部にはレベルを下げる手腕という指摘もあるだろうが-披露されるだろう。そうだとすれば、近年の前任者のものと比べ遜色ない演説内容となりそうだ。

  初代のジョージ・ワシントン大統領の時代から就任演説は歴代の大統領にとって、それからの任期の基調を打ち出し、目標を掲げる機会となってきた。どのような表現を用いるかによって、大統領がどのレベルの有権者に訴えようとしているのかが浮き彫りとなるとも言える。

  トランプ氏の前任者がどの程度の言語レベルで国民に語り掛けたかについて感触を得るため、私はオンラインのソフトを使って過去200年余りの大統領就任演説を評価してみた。語彙(ごい)や文章の長さなどの要素を考慮した上で、演説を理解するのに学年でどの程度のレベルが必要かの推計を数字で示すものだ。数値が12を上回れば大学レベルの複雑さとされ、18を上回るようなら大学院レベルの理解力が求められる。

就任演説の読解力レベル
就任演説の読解力レベル
Bloomberg View

  初代のジョージ・ワシントン、第2代のジョン・アダムズ両大統領の数値が最高レベル、第41代のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(ブッシュ父)が最低レベルとして際立っているのは別として、飛び抜けて印象的なのは長期的な傾向だ。18世紀後半以降、就任演説を理解するのに求められる学年レベルの推計値はおおむね下がり続け、かつて大学院レベルを優に上回っていたものが、今では高校2年程度となっている。

  もちろんこうした傾向には、18世紀の言い回しを21世紀のアルゴリズムで理解しようとする能力面の問題と何らかの関係があるかもしれない。そうだとしても、それはラジオの時代からテレビ、ツイッターへと大統領が国民に語り掛ける方法が変遷してきたこととも合致している。それが多少のレベル引き下げを示唆しているのは確かだとしても、歴代の指導者が大学の学位を持たない大部分の国民にメッセージを伝えるのがうまくなったことも意味する。

トランプ氏
トランプ氏
Bloomberg

  トランプ氏の過去のスピーチから判断すれば、同氏の就任演説は学年レベルの評価で恐らく近年の前任者のものとそれほど大きな違いはないだろうと考えられる。上記のソフトを使って、昨年7月の共和党全国大会での同氏の大統領候補指名の受諾演説を調べたところ、高校2年の理解レベルとされた。

  事実関係や倫理面で問題があるかもしれないトランプ氏も、どうすれば国民にメッセージを伝えられるかの術はよく分かっているのだ。

  (マーク・ホワイトハウス氏はブルームバーグ・ビュー向けに世界経済や金融について論説を執筆。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:Trump’s Inaugural Speech Might Not Be So Dumb: Mark Whitehouse(抜粋)
  

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