グローバルなマクロヘッジファンドを運用するケビン・スミス氏は、昨年終わりごろに中国が人民元防衛に真剣になっていると思うや、元下落に賭ける取引を巻き戻した。その次にしたのは、中国株下落の倍賭けだった。

  同ファンドの過去10年のリターンが約350%に達するスミス氏は、中国の元相場を支える試みが同国の金融環境を引き締め、信用危機が起きる可能性を一段と高めているとみる。同氏にとってこれは、多額借り入れの上に成り立つ成長を何年も続けてきた中国でのドミノ倒しが、銀行や「ゾンビ」企業の株式から始まることを意味する。

  

  米クレスキャット・キャピタル (本社デンバー)の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるスミス氏は「ここ最近の金融引き締め措置は、中国当局者がまず信用危機の引き金を引くリスクの高まりを示す」とし、「株式をショートにする投資機会があるという確信を強めるのみだ。通貨防衛が続くなら、なおさらだ」と述べた。運用するマクロファンドの中で、中国投資の前四半期のリターンはプラス約3.4%だった。

街頭に設置された金融データのスクリーン(上海市)
街頭に設置された金融データのスクリーン(上海市)
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  今年の中国経済に関してはソフトランディングするとの見通しがコンセンサスになっているが、スミス氏の中国株に対する弱気な見方は市場で広がりつつあるようだ。米国では中国株の動きを追う上場投資信託(ETF)の空売りが1年ぶりの水準に増えたほか、中国本土株の指標CSI300指数は昨年11月末以降6%余り下げている。また、16日の中国株式市場では、深圳総合指数と上海総合指数が午後に急落した。

  スミス氏によれば、中国の金融緩和時代は終わりを告げる。3カ月物の上海銀行間取引金利(SHIBOR)は62営業日連続で上昇し、トップ格付けの中国企業の5年物社債の平均利回りは四半期ベースで13年末以来の大幅上昇を記録した。この一部は世界的な金利上昇で説明できるが、人民元を支える政府の取り組みが銀行システムからの流動性吸収を加速させてきたことも事実。中国人民銀行(中央銀行)にファクスでコメントを要請したが今のところ返答はない。

  約9600万ドル(約110億円)を運用するスミス氏は過去2年の大半、元安に賭けてきたが、1月4日のオフショア市場での元急騰前にオプションを行使して利益を挙げたとしている。元のショートをロールオーバーすることはせず、代わりに中国株ETFの空売りを増やしたという。

原題:Hedge Fund Winning on Yuan Says China’s Next Big Short Is Stocks(抜粋)

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