石油元売り最大手JXエネルギーの杉森務社長は、同社が4月に全面自由化される都市ガス小売り事業への参入を検討しており、この分野で提携やさらなる経営統合の可能性もあるとの考えを明らかにした。

JXエネルギーの杉森務社長
JXエネルギーの杉森務社長
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  杉森氏はブルームバーグのインタビューで、都市ガス小売り事業については「供給安定性が保てない条件だと商売できない」と述べ、保安体制の構築や、他社のガス導管や液化天然ガス(LNG)輸入基地を利用することによる経済性を精査し、2017年度中に参入の可否を判断する方針を示した。

  JXは都市ガスの原料となるLNGの輸入基地を首都圏周辺に持っていない。そのため、杉森氏は東京電力ホールディングス東京ガスといった東京湾内に輸入基地を保有する企業と「アライアンスを組んでいきたい」と話した。

  JXは17年4月に東燃ゼネラル石油と経営統合する予定。両社は昨年それぞれ電力小売り事業に参入しており、これまでに合わせて18万件超の顧客を獲得している。都市ガス小売り事業に参入すれば、ガソリンや軽油、灯油など石油製品の販売に電力や都市ガスを組み合わせた割安な価格が提供できるようになり、電力会社やガス会社が提供するサービスとの差別化につながる。

  本業の石油精製事業では、人口減や自動車の燃費向上などで石油製品需要は減少の一途をたどっている。経済産業省の予測によると、石油製品需要は20年度まで年平均1.7%のペースで減少する見通しだ。

装備や製油所廃止も視野

  同省はエネルギー供給構造高度化法の二次告示で、今年3月末までに製油所の原油処理能力を削減するか、ガソリンなど付加価値の高い製品の生産比率を高める装置の装備率改善を義務付けている。石油製品の供給過剰解消のほか、石油各社の競争力強化が狙いだ。

  JXは7製油所で日量132万7200バレルの原油処理能力を持つ。杉森氏は製油所の原油処理能力を決める中核設備の「常圧蒸留装置」10基を全て残しつつ、精製能力を全体で1割程度削減する形で対応する考えを明らかにした。さらに東燃ゼネ石との統合後は、国内需要の減少に合わせて1-2基の常圧蒸留装置の廃止や製油所閉鎖などについて決定していく方針だという。

  大阪製油所(大阪府高石市、処理能力11万5000バレル)を拠点にしたペトロチャイナ(中国石油天然気)との合弁の石油製品輸出事業は20年に契約が満了する。19年度には大規模定期修理を控えており、17年度中に契約終了後の事業の在り方について決定するという。根岸製油所(横浜市、同27万バレル)にLNGの輸入基地やLNGを使う火力発電所を建設することも「可能性としては考えられないことはない」と話した。

LNG調達、できれば韓国方式で

  JXは競争力のある発電設備を確保するため、東ガスと共同出資する川崎天然ガス発電所で3、4号機の増設(発電出力は計110万キロワット)を計画。17年度の早い時期に行う最終投資決定にあわせLNGの調達先も選定する見通しだ。

  杉森氏は、都市ガスや電力の料金に直結するLNGの調達力の向上について、独自でやりたいが韓国ガス公社のように「国を挙げて一本で買えるようになれば大きなバーゲニングパワーになる」と述べた。JXは年88万トンのLNGを英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどとの長期契約で海外の売り手から直接購入しており、自社で保有する八戸LNG基地(青森県八戸市)や中国電力との合弁の水島LNG基地(岡山県倉敷市)で受け入れている。

  経済成長に伴い石油製品需要が増えるベトナム市場への足掛かりとして、JXは16年4月にベトナムの石油製品販売最大手ペトロリメックスに8%出資し、大株主のベトナム政府を加えた3者で連携する契約を締結。その後の1年間の成果として、今年5月までにベトナム国内での製油所建設に向けた事業化調査の実施を判断する。順調に進めば調査終了後2年間の基本設計と3年間の建設期間を経て、24-25年に運転を開始する見通しだと話した。必要に応じてペトロリメックスへの増資も検討するという。

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