国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済見通しを発表し、今週米大統領に就任するドナルド・トランプ氏の政策については、同氏が公約している財政刺激策による米経済の押し上げ効果は小さいと想定するなど慎重な見方を示した。

  IMFは今年と来年の世界成長率見通しを昨年10月時点の予想から共に据え置き、それぞれ3.4%、3.6%とした。

  トランプ政権誕生の影響は世界経済が直面する最大の不確定要素の1つだ。トランプ氏は減税とインフラ支出拡大を公約する一方で、中国やメキシコなど貿易相手国からの輸入品への関税賦課も辞さないと主張している。このような懲罰的措置が報復を招いた場合、成長を圧迫しかねない。トランプ氏の政策の優先順位は20日の大統領就任後に一層明確になる見通し。

  IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は添付文書で、米国の経済政策がどうなるか極めて不透明なため、「リスク要因の上下の振れ幅が通常より広い」と指摘。「2017年にかけての米経済の勢いと、政策の組み合わせが変わる可能性を考慮して、われわれは米成長率の2年間予想を若干引き上げた」とした上で、「しかし今後の財政法制の具体的内容が引き続き不透明であり、政府支出の純増がどの程度であるかや、その総需要や潜在産出量、連邦財政赤字、ドルへの影響も不明だ」と説明した。

米利上げペース加速も

  IMFは今年の米成長率予想を0.1ポイント引き上げ2.3%に、来年の同予想を0.4ポイント引き上げ2.5%とした。米利上げについては、昨年10月のIMFスタッフ予測よりもペースが速まるとしたが、年内に見込む利上げ回数は明らかにしなかった。

  今年のユーロ圏の成長率見通しは前回予想から0.1ポイント引き上げ1.6%とした。日本の17年見通しは0.2ポイント上方修正し0.8%。中国の17年予想も0.3ポイント引き上げ6.5%。

  一方、メキシコの今年の成長率見通しは「米国に関連した不確実性」を理由に0.6ポイント下げ、1.7%とした。インドは政府が高額紙幣を廃止した影響で消費が低迷するとして、0.4ポイント引き下げ、7.2%と予想した。ブラジルも0.3ポイント下げ、0.2%とした。

  IMFは米国ないし中国で予想以上に力強い刺激策が講じられた場合は世界経済の成長ペースは加速し得ると分析。しかし保護主義へのシフトや与信の引き締まり、地政学上の緊張の高まり、中国経済の予想以上の減速があった場合、世界の成長の勢いは予想よりも弱まる可能性があると指摘した。

原題:IMF Assumes Only a Modest U.S. Boost From Trump Stimulus for Now(抜粋)

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