エアバッグ問題を抱えるタカタは米国で長年にわたり破損リスクを隠していたことを認め、罰金や自動車メーカー・購入者への賠償など総額10億ドル(約1140億円)を支払うことで司法省と合意した。経営再建に向けて一歩前進したが、まだ道筋が見えてこないため、不安感は払しょくできていないとの指摘が出ている。

  米国司法省やタカタの前週末の発表によると、タカタはエアバッグのインフレータ(膨張装置)の性能検証試験に関する報告について不備を認め、米検察当局はタカタの元幹部3人(いずれも日本国籍)の起訴を発表した。3人は2000年ごろから試験中にエアバッグのインフレータが破裂するなどの問題発生を認識し、試験結果の改ざんについて定期的に話し合い、都合の悪いデータを除外していたという。裁判所の書類によれば、3人は15年までタカタに勤務していた。3人とその弁護士からコメントは得られていない。

  タカタは今回の合意で、自動車メーカーに提供した試験データや報告の不備について通信詐欺で有罪を認め、2500万ドルの罰金を支払う。このほか、インフレータの不具合の被害者でまだ補償を受けていない人たちや今後の被害の可能性に備え、1億2500万ドルの補償基金を設立する。さらに、不備のあった試験データや報告を受けたり、相安定化硝酸アンモニウムを使用したタカタ製エアバッグを購入した自動車メーカーのため8億5000万ドルの補償基金を設立する。

  SBI証券の遠藤功治アナリストは、米当局との和解は一歩前進だが、どうやって再生するかという最も重要な点が見えてこないため不安感は大きいとコメントした。タカタは再建に向けて当初、16年中に出資者(スポンサー)を選定するとしていたが、作業が遅れているということは関係者間で合意に至らない部分があるということと指摘。いつまでにどういうスキームで再生するのかという道筋を示さない限り、不安感は払しょくできないだろうとみている。

  タカタの高田重久会長兼社長は発表文で、今回の合意は「問題解決に向けた重要な一歩」であり、「スポンサー選定においても重要な節目になる」との認識を示した。一方、過去の試験結果報告では「抜け漏れや不正確なものが含まれていたことを認識しており、深く反省の上、真摯(しんし)に受け止める」とした。複数のスポンサー候補が外部専門家委員会に対して再建に参画する意向を示しており、米司法当局との合意がスポンサー選定において有益と確信しているとした。

  タカタ製エアバッグでは異常破裂する恐れがあり、米国を中心に死傷者が出ている。自動車メーカーは搭載車のリコールを拡大しており、対策費用が巨額に上るとみられるほか、米国などで被害者が損害賠償を求める集団訴訟も提起されている。

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