来週の債券市場では長期金利に低下圧力がかかりやすい展開が見込まれている。トランプ次期米大統領の就任式を20日に控え、政策期待で先行した株高・円安を修正する流れが続くとの見方が背景にある。一方、国内では20年債や5年債入札を控えて金利低下余地は限定的との指摘も聞かれている。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「基本的にはトランプラリーの調整がポイント」だとし、「鍵になるのはダウ工業株30種平均の2万ドル台乗せで、達成できれば心理的な節目から米株が調整売り優勢になる公算が大きい。トランプ大統領就任前の調整売りもありそうだ」と説明。米10年債利回りについては「2.2%以下にある窓を埋めなければ金利上昇は困難」とし、「円債にも金利低下圧力が加わりそう」とみる。

  今週の新発10年物国債345回債利回りは3連休明けの10日に付けた0.06%が上限となり、トランプ氏の会見内容を受けた株安・円高を背景に12日には0.04%まで低下した。

  来週20日には米国で第45代大統領の就任式が行われる。トランプ氏は11日の記者会見で、「米国を離れ、好き勝手に振る舞う企業には多額の国境税が課されるだろう」と発言。市場が注目していた財政拡大やインフラ投資など景気浮揚につながる政策に踏み込んだ内容に乏しく、失望につながった。

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Bloomberg

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「トランプ氏の記者会見では、具体的な政策がなかったということで債券が買われたが、オーバーリアクションだった」とし、「米長期金利は2.3%ちょうどをボトムに反転しかかっており、これ以上の金利低下は難しいのではないか」と指摘した。

  来週は17日に20年利付国債、19日には5年利付国債の入札が予定されている。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「入札が続くことが、相場の上値を抑える要因になる」と予想。その上で、「中短期国債には根強い投資家の需要が見込める一方、超長期国債利回りの低下余地は限定的と思われる」としている。

市場関係者の見方

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*20年債入札、仮に米小売売上高が悪くてダウ平均が2万ドル達成ならずとも債券積み増しとなった場合は好調な結果になり得る
*基本的には不透明感が高い中、一定の需要に支えられ、金利上昇要因にはならない
*長期金利の予想レンジは0.00%~0.06%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*米景気拡大期待や米利上げ観測の継続で米債利回りの大幅低下は見込みづらいが、株安・円高基調が回復するにはしばらく時間かかる
*日銀支店長会議では国内景気の緩やかな拡大基調が確認されよう。金融緩和姿勢に変化ないと思われるが、引き続き上値追いには慎重な投資家が多いだろう
*長期金利の予想レンジは0.03%~0.07%

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*20年債入札はショートカバーニーズが高く、無難に吸収される見込み
*ただ、5年債入札もあり、好調でも相場は上がらない展開か
*長期金利の予想レンジは0.03%~0.08%
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