米環境保護局(EPA)は12日、自動車メーカ-、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が米国の排ガス規制を逃れるためディーゼル車10万4000台に不正ソフトウエアを搭載し、大気浄化法に違反した疑いがあると発表した。これを受け、独フォルクスワーゲン(VW)に続き、FCAも巨額の罰金・民事制裁金を科されるのではないかとの見方が広がり、株価は急落した。

  EPAによれば、FCAは「ジープ・グランドチェロキー」と「ラム1500」にソフトウエアを搭載し、基準を超える排ガスを排出できるようにしていた。EPAは同ソフトウエアについて、排ガスを試験の時だけ減らす「ディフィートデバイス」だったとの断言は避けたものの、使用の開示を怠ったと指摘した。これに対しFCAは、全ての関連規制の要件を満たしており、トランプ次期政権と調整しながら反論するつもりだと表明した。

マルキオンネCEO
マルキオンネCEO
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Sergio Marchionne

  FCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)は12日の記者団との電話会議で、FCAのケースはVWの場合と「全く異なる」と発言。これまで1年余りの間、同社はEPAと排ガスについて議論してきており、EPAが違反を通告したタイミングは「極めて奇妙」だと指摘した上で、「非常に不服だ」と語った。

  12日の米株式市場でFCA株は一時18%安と、日中取引としては2014年10月の上場以来最大の下げとなった。マルキオンネCEOの電話会議後は下げ幅を縮小し、10%安の9.95ドルで取引を終えた。

  EPAの法執行責任者シンシア・ジャイルズ氏によると、FCAは1台当たり最大で制裁金4万4539ドルの支払いを求められる可能性がある。該当車両の14-16年の販売台数を基にした試算では制裁金総額は46億ドル(約5300億円)に達し得る。EPAがVWの不正疑惑を15年9月に初めて公表した際の制裁金見通しは180億ドルだった。

  ジャイルズ氏は記者団との電話会議で、「われわれがこれまでFCAと行ってきた協議では」同ソフトに関する「有効な説明は見いだせなかった」と説明。「これは明確な大気浄化法違反だ」と指摘した。

  ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は発表資料で、自分は「非常に困惑」しており、連邦・州当局と連携していくと表明し、EPAが指摘したFCAの不正疑惑について調査する意向を示した。
  
  FCAは発表資料で、トランプ次期政権と調整しつつ、「反論を提出し、公正かつ公平にこの問題を解決する」方針だと説明した。

  EPAによると、VWの排ガス不正を受け、他社のディーゼル車をより詳細に検証している際に、問題となっているFCAのソフトウエアを見つけた。FCAにはこのソフトがディフィートデバイスでないと示す責任があるとEPAは指摘した。

原題:Fiat Chrysler Plunges as EPA Allege Diesel Emissions Cheating(抜粋)

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