中国人民元が再び世界の注目を集めていることから、中国当局が今の局面で人民元に対する管理を緩めるのは不適当だと思えるかもしれない。

  しかしアナリストや投資家の間では、人民元の変動相場制への移行がまずあり得ない話とはもはや言えなくなったとの見方が増えている。政府系研究員や中国人民銀行(中央銀行)の元貨幣政策委員らの間からもそうした意見が上がっており、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は移行の可能性が高まりつつあるとみている。

  人民元への規制を外すことのリスクは無視し難い。実際にそうした措置を講じた場合は、ほぼ間違いなく元が反射的に下落し、資本流出が加速して世界の市場に衝撃を与えるだろう。

  だが変動相場制の提唱者らは、中国にとっては移行に伴うコストより長期的な恩恵の方が大きいと主張する。為替レートを市場が決定するシステムに早急に移行することで外貨準備の減少が避けられ、国内の金融政策の支配力を再び行使できるほか、中国共産党が人民元を操作しているとのトランプ次期米大統領からの批判にも対抗することが可能になる。

  PIMCOのアジア新興国・地域担当ポートフォリオマネジメント責任者、ルーク・スパジック氏は「受け入れなければならないのは、現在の人民元の価値が適切でないという事実。変化が必要だ」と述べた。同氏は元が向こう1年で1桁台の半ばから後半の大きさで下落すると予想している。

  人民銀にコメントを求めるファクスを送ったが返答はない。

  中国の国家発展改革委員会(発改委)傘下の国家情報センターでチーフエコノミストを務める祝宝良氏(北京在勤)は「人民元の下落圧力を解放しなければ中国の金融政策は厳しい状況に陥るだろう。元の下落を容認することで国内のリスクを減らし、世界的なリスクへの波及を食い止めることができる」と指摘した。

  一方、みずほセキュリティーズアジアの沈建光エコノミストは、中国の現行システムは不完全であるものの、今は為替相場を自由化する時ではないと話す。米金融当局が年内にさらなる利上げに踏み切ると予想される中で、中国が変動相場制に移行すれば元が対ドルで急落し、「多額の」資本流出を招くとする沈氏は、トランプ次期政権が中国による市場に基づく為替相場の採用を称賛するどころか、米国の利益を害すると受け止めかねないと語った。

原題:Pimco Says China’s Next Market Shock May Be Yuan Free Float (1)(抜粋)

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