12日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が下落。前日行われたトランプ次期大統領の会見で景気刺激策の詳細が示されなかったことへの失望や保護主義的な姿勢への警戒感が重しとなり、一時1ドル=114円台前半まで値を下げた。

  午後3時28分現在のドル・円は前日比0.7%安の114円59銭。115円台半ばから一時114円35銭まで値を下げ、前日の海外市場で付けた昨年12月9日以来の安値(114円25銭)に迫った。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部・戦略トレーディング課の池島俊太郎課長は、今回の会見で具体的なものがなかったため、「次の焦点は20日の就任式やその後の人事がすんなり決まるかどうかというところに移りそう」だと指摘。それを確認するまでは「ドル・円が戻るのは難しいのではないか」とした上で、「保護主義的な言説中でトヨタや中国、日本と触れられると、やはりドル買いを手控える感じになるか、ドルロングのポジションを調整する感じにはなりやすい」と話した。

  トランプ氏は11日、大統領選後初の会見で、生産設備や雇用をメキシコなどの国外に移転する米企業に対し、 「大規模な国境税」を課す方針をあらためて示した。同氏はまた、米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)に対し、フォード・モーターやフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)に倣って米国内の自動車工場に投資し、雇用を増やすよう促した。

  菅義偉官房長官は12日の記者会見で、トランプ氏の会見について「しっかり分析している」とし、日本との貿易赤字を問題視する姿勢を示したことについては、日米経済関係のさらなる発展・深化に取り組むことは「どなたがなっても同じ」と述べた。

  みずほ証券金融市場調査部の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、「トランプ氏が対日も含めた貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、保護主義強化姿勢をあらためて示したことから、上値の重さを確認すると再びドル安・円高圧力が強まるリスクが大きくなっている」と指摘。ドル高への直接的な言及はなかったが、「当面は新政権がどのように米国の貿易赤字を削減するのかが注目される」と記述した。  

  この日発表された日本の11月の経常収支は1兆4155億円の黒字となった。黒字は29カ月連続で、貿易収支の黒字(3134億円)が全体を押し上げた。

  12日の東京株式相場は反落し、日経平均株価の下げ幅は一時300円に迫った。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨に対してほぼ全面高。一方、ドルは大半の通貨に対して下落している。

  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、昨日の会見で「大統領選勝利後の理性的な感じではないトランプ氏だったことが示されて、あらためて不安感が出てきている感じ」だとし、この先、政治的リスクが焦点となった場合には「米株に資金が向かなくなるリスクもあるだろう」と指摘。「クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が崩れると、ドル・円も重くなり、下方向への圧力は続きそう」と語った。

  ユーロ・円相場は1ユーロ=122円台前半から一時121円37銭と、前日の海外市場で付けた昨年12月9日以来の安値(121円25銭)付近までユーロ売り・円買いが進行。一方、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.05ドル台後半から一時1.0615ドルまでユーロ買い・ドル売りが進んだ。

  メキシコ・ペソは1ドル=21ペソ台後半と過去最安値圏で推移。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「メキシコへの強硬姿勢は変わらず象徴的」だとし、「トランプ政権が現実路線に戻れば、メキシコ・ペソにも買い戻しが入ると思うが、短期的には為替相場に壁はない」と語った。

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