三菱重工業の完全子会社、三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(M-FET)は主力のフォークリフトなど物流事業で、成長が期待できる米国の開発拠点を強化するなど日米欧の世界3拠点体制を構築し、業容を拡大させて業界トップを目指している。

  M-FETの前川篤社長がブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、フォークリフトを含む物流事業の開発拠点の陣容について「10月までに米国ではヒューストンに現地での新規雇用を含めこれまでの倍の規模に拡大する」と述べた。その上で、「世界で勝負する体制を構築するため、欧州と日本にもそれぞれ開発拠点を設置して各100人程度とし、世界3極体制で世界トップを目指す」と話した。

  米国の物流については、アマゾンやウォルマートなどで技術革新が著しく、この国の物流事業の在り方が今後の世界標準になる可能性が高いとみられている。トランプ政権が誕生すれば、インフラ投資が進むなど、物流の活性化も期待されている。トランプ氏が米国生産・雇用拡大に向けて企業に投資を促す中、前川氏は最も成長が期待できるのは米国との見方を示した。M-FETのフォークリフト関連事業では米国が海外で最大市場。

  前川社長によると、フォークリフト事業では現在、大きな2つの潮流があるという。一つは、従来のガソリンや軽油を燃料とするエンジンから、電動式への動力の移行。もう一つは、従来のフォークリフト単体のビジネスから、ロボットや人工知能(AI)を活用した無人搬送、在庫管理などを含む物流ソリューションへとシフトしつつある。これらの潮流を捉えて、技術革新と経営努力で上位2社を追い上げることは可能とした。

三菱重グループでは収益規模で第2の会社

  三菱重工の宮永俊一社長は現在、経営改革に取り組んでおり、初の国産ジェット旅客機MRJの開発や、造船事業の立て直しなどで多額の資金を必要としている。このため、事業会社の経営判断の迅速化などを目指し、稼げる会社としてM-FETを独立経営事業会社として昨年3月に発足させた。三菱重工グループでは、三菱重工と日立製作所が14年に火力発電システム事業を統合した三菱日立パワーシステムズに次ぎ、M-FETが収益規模で第2の会社となる。

  M-FETは傘下のニチユ三菱フォークリフトを通じて、ユニキャリア株式を100%取得し、10月をめどに経営統合させる計画。フォークリフト事業の世界シェアは豊田自動織機22%、独KIONグループが15.7%、次いでM-FET傘下の統合会社が10.6%で第3位となる。フォークリフトを中心とした物流機器事業については統合会社の売上高が前年度ベースで4400億円。同社はフォークリフト事業のほか、エンジン・エナジーとターボチャージャ事業も展開し、世界規模で業容を拡大するなど、会社として2020年度の売上高1兆円、営業利益1000億円を目指している。

  自動車エンジンなど向けのターボチャージャ(過給器)についても、世界的な環境規制強化などを背景に需要が拡大している。前川氏は「欧米、中国などで順調とは言え、従来のディーゼルからガソリンエンジン向けの高性能化やハイブリッド向けなど、新分野への挑戦を継続する」と話した。同社製品は米ゼネラル・モーターズ(GM)や独ポルシェなどの車に採用されている。既存のエンジン・ターボ事業は15年度比で20年度に約67%増の4500億円を目指している。

  前川社長によると、次期米副大統領のペンス氏は来日した際に、ターボチャージャ工場がある神奈川県・相模原や三菱重工本社の品川を訪問した。15年に稼働した米インディアナ州のターボチャージャ工場の建設に関連して、ペンス氏が当時、州知事だったことから三菱重工と懇意にしているという。

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