12日の東京株式相場は反落。トランプ次期米大統領の会見で景気刺激策の詳細について言及がなく、失望売りが広がった。為替の円高進行もマイナス材料。入札制度導入への警戒で米国のバイオテクノロジー株が下げた流れから医薬品株が安く、小売や銀行、精密機器、鉄鋼、建設株など幅広い業種が下げた。

  TOPIXの終値は前日比14.99ポイント(1%)安の1535.41、日経平均株価は229円97銭(1.2%)安の1万9134円70銭。両指数の下げ幅と下落率はことしに入り最大。日経平均は米大統領選後の上昇相場が始まった昨年11月以降、初めて投資家の短中期売買コストを示す25日移動平均線(1万9192円70銭)を下回った。

  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、トランプ氏の会見について「注目されていた割に財政や為替、通商に関し具体的な言及がなく、失望された」と指摘、トランプ次期政権への期待感だけで買う局面は終わり、「政策の中身を見たいというモードに変わってきた」と話した。

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Photographer: John Taggart/Bloomberg

  ニューヨークのトランプタワーで11日に行われたトランプ氏の会見は、ロシアとの関係を問う質疑応答が多くを占めた。「政策のヒントが得られると期待していた向きにとっては肩透かし」と、岡三証券投資戦略部の山本信一シニアストラテジストは言う。

  11日の米国市場では米国債売り・ドル買いの「トランプ・トレード」の見直しが広がり、ドル・円は一時1ドル=114円20銭台と昨年12月9日以来の水準までドル安・円高が進行。前日の日本株終値時点は115円96銭だった。

  トランプ氏会見の内容や為替動向が嫌気され、きょうの日本株は朝方から売りが優勢。午前は115円前後でもみ合っていたドル・円が午後に入り114円台前半まで円が強含むと、日経平均は先物主導で下げ幅を拡大。一時295円安の1万9069円と昨年末の大納会終値(1万9114円37銭)を下回る水準まで売られた。岩井コスモ証券・投資調査部の林卓郎氏は、「日本銀行がETFを購入したとみられる割に戻りが鈍く、あらためて売り直す動きが出た」とし、あすのオプション1月限の特別清算値(SQ)算出をにらみ、1万9000円を意識する売り仕掛けがあったとみていた。

  武田薬品工業やアステラス製薬を中心に、業種別下落率のトップは医薬品。トランプ氏が医薬品の入札方式を開始する意向を示し、米バイオ・医薬品株が下げた流れを受けた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の若尾正示シニアアナリストは、入札制度が導入された場合、「米国で製薬企業がとってきた薬価を引き上げることによる薬剤の売り上げ拡大が難しくなるため、ネガティブ」との認識を示した。

  トランプ氏は米大統領選の期間中、就任初日に中国を為替操作国に認定する意向を示していたほか、米国の雇用を取り戻すために北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に臨む計画を表明してきた。三井住友アセットの市川氏は、「20日の就任式を受け、市場は最初の政策評価局面に入る」と話している。
  
  東証1部33業種は医薬品、パルプ・紙、精密、小売、ゴム製品、繊維、鉄鋼、建設、銀行など31業種が下落。石油・石炭製品、水産・農林の2業種は上昇。東証1部の売買高は20億700万株、売買代金は2兆3762億円。代金は前日から9%増えた。上昇銘柄数は327、下落は1600。大阪取引所の日経平均先物3月限の出来高は9万枚超、前日は5万1677枚だった。
 
  売買代金上位では、みずほ証券が投資判断を下げたユニー・ファミリーマートホールディングス、ジェフリーズ証券が先行きの業況に対し慎重な見方を示したコナミホールディングスが大幅安。半面、新社長就任で業績拡大加速が期待されたキユーピーは急伸。大和証券が投資判断を強気に上げたJXホールディングスも高い。

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