債券相場は上昇。一段の金利上昇要因になると市場で警戒されていたトランプ次期米大統領の記者会見が新味に欠ける内容と受け止められ、持ち高調整に伴う買いが優勢となった。

  12日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と比べ0.5ベーシスポイント(bp)低い0.05%で寄り付いた。午後には0.045%と3営業日ぶりの水準まで下げた。20年物の159回債利回りは一時0.5bp高い0.62%と、新発として昨年12月半ば以来の水準まで上昇した後、0.595%に低下した。新発30年物53回債利回りは2bp低い0.74%を付けている。

  損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダーは、「トランプ氏の記者会見では目新しい材料が出なかった」とし、「大統領選以降、期待でだいぶ株価も金利も一方向で上昇したので、トランプ相場はいったん小休止といったところ」と指摘。「ポジションのアンワインドを背景に日本株安と円高に連れて、債券買い圧力が掛かっている」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比7銭高の150円33銭で開始。一時150円39銭まで水準を切り上げた後、4銭安まで沈む場面が見られた。引けにかけて切り返し、結局は寄り付きと同じ150円33銭で終えた。

  損保ジャパン日本興亜の石崎氏は、「債券から株への大きなシフトを促したトランプ相場の持続性はまだ不透明で、しばらくは警戒感が残る」と指摘。その上で、「今年はグローバルに財政面がフォーカスされているので、金利の上昇リスクは消えない」とし、大きく金利が下がる展開も見込みにくいと言う。

  中期債は下落。新発2年物の372回債利回りは3.5bp高いマイナス0.215%、新発5年物の130回債利回りは1.5bp高いマイナス0.12%まで売られた。前日はマイナス0.25%、マイナス0.135%と、いずれも新発で昨年11月以来の低水準を付けた。

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Bloomberg

トランプ氏会見

  トランプ氏は11日にニューヨークで記者会見し、「米国を離れ、好き勝手に振る舞う企業には多額の国境税が課されるだろう」と発言。生産拠点を米国外に移す米企業に多額の税を課すとした選挙公約をあらためて示した。

  11日の米国債相場は小幅高。10年債入札(発行額200億ドル)が昨年6月以来の強い需要を集めたことが手掛かりとなり、米10年債利回りは一時5bp低下の2.33%と、昨年11月以来の低水準を付ける場面があった。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「トランプ氏の会見は一段の金利上昇リスクとして懸念されるイベントではあったが、これに対して海外市場がいったん金利低下で反応したことは、円債市場にとって安心材料であろう」とみる。

  日本銀行はこの日午前の金融調節で、今月4回目となる長期国債買い入れオペを実施した。応札倍率は残存期間「5年超10年以下」が2.75倍、「25年超」が3.05倍と前回から低下。「10年超25年以下」が2.52倍と前回を上回った。

過去の日銀買いオペの結果はこちらをご覧下さい。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE