米国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏が議会で承認され、エクソンモービルを退社する際のパッケージでは、約1億8000万ドル(約209億円)を繰り延べ報酬として後払いできる設計となっている。同氏とエクソンが合意している同パッケージを精査した税会計の専門家は、これによりティラーソン氏は最大7200万ドルの連邦所得税支払いを当面回避できる可能性があると指摘した。

  ティラーソン氏(64)は会長兼最高経営責任者(CEO)として2006年からエクソンを率いてきた。エクソンは同氏が米連邦公務員倫理に関する法に従って社との関係を絶つ場合に備え、こうした取り決めを用意した。このパッケージの下では、同氏のためノーザントラストが管理する信託にエクソンが現金を払い込む。それと引き換えにティラーソン氏は、200万株余りに上る制限付き株式や株式取得請求権を放棄する。

  通常、株式との交換で現金が支払われる場合には、現金を受け取る側に所得税の支払い義務が即座に発生する。だがティラーソン氏の場合、信託に全額が振り込まれたとしても管理会社が最長10年にわたり少しずつ同氏に資金を移すことになっており、資金を受け取った時点でのみ同氏に納税義務が生じる。

  法律事務所ボーイズ・シラー・アンド・フレクスナーで税務問題担当パートナーを務めるマイケル・コスニツキー氏は、ティラーソン氏が「納税を遅らせる一方、信託を通じて繰り延べ報酬の価値を維持できるようにした特別な取り決め」を結んだのは「普通では考えられない」と指摘した。コスニツキー氏はこの記事のため連絡を取った6人の専門家のうちの1人で、ティラーソン氏の取り決めを公開されている文書から確認した。

  この取り決めについて、複数の専門家は違法性はまったくなく、倫理的にも問題ないとの見方を示す。それでもコスニツキー氏によると、厳しい規則の下で課税される繰り延べ報酬を比較的規則の緩い保有資産へと実質的に転換する手法について、内国歳入庁(IRS)が問う可能性はある。

  エクソン広報のアラン・ジェファー氏はティラーソン氏に即座の納税義務が発生しない取り決めについて確認した。ティラーソン氏の法的代理人を務めるウィルマーヘイル法律事務所のレジナルド・ブラウン弁護士は、「信託を活用したこの取り決めが、税の繰り延べに適用される全ての法を順守していると確信している」と述べた。

  米国で個人所得税の最高税率は現在39.6%だが、トランプ次期大統領や下院共和党はこれを33%に引き下げる意向を示している。これが実現すれば、報酬の受け取りを遅らせるティラーソン氏は恩恵を受ける可能性がある。

原題:Tillerson’s Exxon-Ethics Plan Has $72 Million Tax Advantage (1)(抜粋)

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