JPモルガン・チェースのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏らは、クオンツ運用のファンドがしばしば、株式投資家の痛みを増幅すると指摘する。しかし、これに耳を傾けてはならない。プログラムに基づいて機械的に売買するこうしたファンドは小粒になりつつあり、24兆ドル(約2791兆円)規模の米株市場を動かす力はない。

  これはAQRキャピタル・マネジメントの見解で、客観的なものではない。同社は相場乱高下の元凶に挙げられるようになった戦略の多くを他社に先駆けて取り入れてきた企業であるためだ。AQRのクオンツ運用者らは、2015年8月の中国発の相場下落から英国の欧州連合(EU)離脱選択後の急落まで、あらゆることをマネージドフューチャーズやリスクパリティ戦略のせいにする論調にうんざりしてしている。

ウォール街
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Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  AQRのプリンシパルでマネージドフューチャーズ・リスクパリティ戦略のポートフォリオマネジャー、ブライアン・ハースト氏は「分析は不正確だ」とし、「単純化し過ぎたモデルと不適切なデータに基づいている」と指摘した。

  自己弁護的ではあるものの、AQRの主張を数学好きの屁理屈だと片付けるわけにはいかない。AQRが言及したような分析、つまり自動取引ファンドの資金規模およびボラティリティなどに対するその反応についての理論によって自動取引の影響を予測しようという試みが、この1年で大いに増えているからだ。

  AQRの見解では、コンピュータープログラムで運用するファンドは市場の厄介な動きを説明しようとする不毛な努力によりスケープゴートに祭り上げられただけだ。コラノビッチ氏はこうした論調の旗手だ。同氏は15年夏の株式相場急落を言い当て、自動取引ファンドが売りに追い込まれることが原因だと説明。以来、多くの人から予言者ともてはやされるようになった。JPモルガンの広報担当アマンダ・スミス氏によると、コラノビッチ氏はコメントを控えた。

  コラノビッチ氏は英国のEU離脱選択直後にも影響予測を発表。自動取引ファンドのレバレッジ解消が商品取引アドバイザー(CTA)から最大400億ドル、リスクパリティ戦略ファンドから300億ドルの売りをそれぞれ促すだろうと分析した。

  一方AQRは、この概算はこうしたファンドの影響力を著しく過大評価していると論じる。CTAの資金の多くを運用するマネージドフューチャーズの資産は、イーベストメントのデータによると約1350億ドルで、08年の2100億ドルから減少している。3000億-4000億ドルというS&P500種株価指数先物の1日の取引高に比較して、これは市場を動かすほど大きな額ではないとの見方だ。

原題:Wall Street’s Most Famous Quants Fed Up With JPMorgan Soothsayer(抜粋)

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