昨年11月に1トン当たり6000ドル超にまで上昇した銅相場。長く続いた価格低迷期からは脱したのか。海外に銅鉱山の権益を持つ非鉄金属各社トップらは、2017年の銅価格を予測する上で重要な世界の銅消費の約半分を占める中国の景気動向の行方に慎重な見方を示している。

  パンパシフィック・カッパー(PPC)の西山佳宏社長はブルームバーグの取材に対し「銅価格は昨年10ー12月の値上がりが急だった」と指摘。現在の5500ドル前後での価格調整が済めば、2017年第2四半期(4-6月期)や年央には上昇に転じる可能性があるとの見方を示した。

  同社が中国江蘇省常州に持つワイヤロッドの生産工場では、昨年4-6月に約8割だった稼働率が8、9月以降はほぼフル生産を続けているという。電線の中間原料で、モーターなど電機・機械向けに使用される。需要はしっかりしていると感じており、「中国の景況感や年前半の消費の動向が銅価格に与える影響は大きい」と話す。

  昨年1月に1トン当たり4300ドル台にまで下落し、09年以来の安値を付けたロンドン金属取引所(LME)の銅価格。ほぼ4000ドル台で推移していたが、中国の景気回復や米大統領選挙で大規模なインフラ投資を公約に掲げたトランプ氏の勝利を背景に一時6000ドル超にまで上昇。10日時点では約5600ドルと1年前と比べて3割弱上昇した水準にある。

  中国では公共投資の拡大などを背景に経済指標の改善は鮮明。財新伝媒とマークイット・エコノミクスが5日に発表した12月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.9と3年11カ月ぶりの高水準。電力使用量と鉄道輸送量、銀行融資から算出する李克強指数も3年4カ月ぶりの水準にある。特に鉄道輸送量がけん引した。中国政府は昨年末、20年までに全長3万キロを超える高速鉄道網の完成を目指す方針も打ち出した。

  古河機械金属は今年、高速鉄道の工事向けに「ドリルジャンボ」と呼ばれるトンネル掘削機を中国に5台納入する。古河機金にとってトンネル掘削機の海外への本格的な輸出は初めて。人件費が安い中国ではトンネル工事は人が手で持つ機械を使って掘るのが主流といい、今後の機械式への移行を期待する。ただ、中国の公共投資の動向について同社の宮川尚久社長は「国家事業として計画で決められたことはやっているが、さらにプラスしてという勢いはまだ出ていない」と語る。

  住友金属鉱山の家守伸正会長も「銅価格が4000ドル台にまで下落するとは思わないが、6000ドルを安定的に超えるかというと厳しいのでは」と慎重。景気指標は改善しているものの「中国の景気が安定的に推移していくかは眉唾だ」と述べた。

  中国では今秋、新たな最高指導部を選出する5年に1度の共産党大会が開催される。人事を巡る権力闘争の激化も見込まれる中、経済基盤が揺らいでは習近平国家主席の思うような人事が難しくなるとの見方もある。「経済が悪くなると国民からの信頼を失うようなところが出てくるので、経済対策に力を入れてくれるだろうという期待感は持っている」と三菱マテリアルの竹内章社長。それでも、銅価格については「確実に上昇するという自信を持てるところまでは来ていない」と語った。

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