10日の東京外国為替市場ではドル・円相場が下落。11日にトランプ次期米大統領の記者会見を控えて、保護主義的な発言が警戒される中、ドル売り・円買いが進んだ。

  午後3時17分現在のドル・円は前日比0.5%安の1ドル=115円41銭。早朝に115円66銭まで下げた後、しばらくもみ合っていたが、午前11時すぎに116円21銭まで戻した後は一転してドル売りが優勢となり、一時115円20銭と先週末以来の水準まで値を下げた。

  ユーロ・ドル相場も一時1ユーロ=1.0627ドルと先月30日以来の水準までユーロ買い・ドル売りが進行。同時刻現在は0.4%高の1.0615ドルとなっている。

  大和証券投資戦略部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、トランプ次期大統領は通商政策などが非常に不透明で、記者会見は「当然ながらリスク要因として意識はされるだろう」と指摘。実際に政権についた後にどこまで現実的な対応に戻るかまだ不透明で「今のところ予断をもってポジションを取るのはちょっと無謀」と話した。

  米大統領選後初となるトランプ次期米大統領の記者会見をめぐって、市場ではドル高や貿易、関税、対中関係に関する発言に注目が集まっている。トランプ氏は中国に対して懲罰的な関税を課し、貿易赤字を縮小すると公約。先週は米自動車大手に続き、メキシコでの工場建設計画でトヨタを名指しして批判した。

  ブルームバーグのデータによると、ドルは主要16通貨の大半に対して下落しており、特に韓国ウォンに対する下げが目立っている。一方、円は大半の通貨に対して買い優勢となっており、メイ英首相の発言を受けて「ハードBrexit(強硬なEU離脱)」懸念が再燃したポンドに対しては昨年11月末以来の高値を更新している。

  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、「米国が保護主義を強めれば、不透明感が高まって投資家はリスクオフ志向になりやすい。そうなれば、経常収支黒字国の円やユーロが買われやすくなる」と指摘。「1990年代に日米貿易摩擦の時に米利上げする中で、ドル・円が下落した時期に似た状況になる可能性がある」と語る。

  豪ドルは対ドルで一時1豪ドル=0.7385ドルまで上昇。昨年11月の豪小売売上高が予想を下回る増加となったことを受け、一時0.7341ドルまで下げる場面も見られたが、正午にかけては豪ドル買い・ドル売りが強まり、同12月15日以来の高値を更新した。

  中国が10日発表した昨年12月の同国の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.5%上昇と、エコノミスト予想(4.6%上昇)を上回り、ここ5年余りで最も大きな伸びとなった。12月の消費者物価指数(CPI)は2.1%上昇。エコノミストの予想は2.2%上昇だった。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、トランプ氏が対中政策でどう出るかも中国経済にとっては重要なポイントで、「なかなか指標だけ見てどうのということはできないのかもしれない」と指摘。その上で、目先はトランプ氏の発言などで相場が乱高下しやすくなり、「ボラティリティだけが高くて方向感があるというよりは、その時の材料を見ながら反射的な動きがしばらく続くのではないか」と予想した。

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