10日の東京株式相場は続落。英国の欧州連合(EU)離脱問題の動向、為替の円高推移が警戒され、11日のトランプ次期米大統領の会見を前に持ち高整理の売りが広がった。トランプラリーで上げが目立った銀行や保険など金融株が売られ、原油市況の下落を受け、鉱業など資源株も安い。

  TOPIXの終値は前週末比11.01ポイント(0.7%)安の1542.31と続落、日経平均株価は152円89銭(0.8%)安の1万9301円44銭と3日続落した。

  ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、トランプ氏の「保護主義的な強硬発言を警戒し、ポジションを閉じる動きが広がっている」と指摘、相場が期待先行で上げてきた分、はしごを外されるリスクもあり、円高基調の中で「ドル・円が1ドル=110円近くまで逆戻りすると、日本株の下げも大きくなるとの連想が働いた」と言う。

東証内
東証内
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  3連休明けの日本株は下落して始まった後、前引けにかけて下げ渋ったが、午後は先物主導で下げピッチが加速。日経平均は一時200円近く安くなった。投資家心理を悪化させたのは為替の円高傾向だ。9日の海外市場で1ドル=117円50銭台を付けていたドル・円は、きょう午後に
1ドル=115円20銭まで円が強含んだ。6日の日本株終値時点は115円93銭。

  東洋証券の浜田享征ストラテジストは、「午後の日本株安の最大要因は円高。トランプ氏の会見を前にドルロングを手じまう動きが出たようで、日本株も為替市場の動きに追随した」とみる。

  英国のEU離脱をめぐる動向も売り材料の1つ。メイ英首相は8日、欧州の単一市場へのアクセス断念も辞さない意向を示し、9日の為替市場ではポンドが下落した。同日の欧米株式は銀行株中心に下げ、ストックス欧州600指数は0.5%安、米S&P500種株価指数は0.4%安。ニューヨーク原油先物も3.8%安とおよそ5週ぶりの大幅安となった。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「メイ英首相の発言で『ハードBrexit』のリスクが意識され、欧州勢を中心にグローバルにリスク回避モードが強まった」と指摘する。

  一方、米国や中国など海外経済統計の堅調は相場全般を下支えした。米労働省が6日に発表した昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比15万6000人増え、平均時給は前年同月比2.9%増と約7年半ぶりの伸び率となった。10日に発表された昨年12月の中国の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.5%上昇し、ここ5年余りで最も大きな伸びを見せた。ちばぎんアセットの加藤氏は、「世界的に景気サイクルは上向いており、トランプ氏の会見後は世界株は上昇基調に回帰する」と予想している。

  東証1部33業種は保険や電気・ガス、鉱業、銀行、食料品、その他金融、陸運、石油・石炭製品など29業種が下落。医薬品、パルプ・紙、空運、その他製品の4業種は上昇。医薬品では、日経平均への新規採用が決まった大塚ホールディングスが大幅高となった。東証1部の売買高は18億9467万株、売買代金は2兆5993億円、代金は前週末より10%多い。上昇銘柄数は758、下落は1131。

  売買代金上位では、クオンツアナリストから日経平均の採用候補に挙げられていたが、選出から漏れたセイコーエプソンが急落。ファーストリテイリングや村田製作所、東京海上ホールディングス、第一生命ホールディングスも安い。これに対し、大塚HLDやソニーは買われ、シティグループ証券が投資判断を上げたロームも高い。

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