トランプ次期米大統領は中国に対して懲罰的な関税を課し、貿易赤字を縮小すると公約している。この措置による打撃は中国だけでなく、アジア全体に広がる恐れがある。

  モルガン・スタンレーは、エコノミストの間にこうした見方が広がっていると指摘する。エコノミストらはトランプ氏が発動する措置で貿易摩擦が高まり、世界最高の成長を続けるアジア経済の勢いが鈍化する恐れがあるとみている。米国のモノの貿易赤字のうち、対アジアは67%を占める。

  オックスフォード・エコノミクスのアジア担当首席エコノミスト、プリヤンカ・キショア氏(シンガポール在勤)は「中国に高額の関税を課すというトランプ氏が選挙戦中に示した提案は、1930年代のような貿易戦争の再来を懸念させる」との見方を示し、「全面的にエスカレートする可能性は低いと考えているものの、世界的な成長低迷と西側でのポピュリズムの高揚でアジア全域で保護主義の台頭に身構えなければならなくなるだろう」と続けた。

  キショア氏はまた、トランプ氏が鉄や鉄鋼製品など予想された分野だけでなく、繊維や家電製品、自動車、パソコンなどにも新たな貿易上の制限を課すリスクもあると述べた。こうしたシナリオでは経済活動の流れに沿って川下まで影響が幅広く波及することから、打撃は中国を越えて広がるだろうという。

  匿名を希望した事情に詳しい関係者によると、トランプ氏が中国製品に懲罰的な措置を取った場合、中国当局は米企業に対する監視を強化する構えだ。知名度が高かったり、中国で大規模に展開していたりする米企業を税務当局や競争当局の調査対象とすることも選択肢にあるという。

  モルガン・スタンレーでは、貿易摩擦が高まって最も痛手を被るのは中国と韓国、日本だとみている。米国への輸出が輸入よりも多く、相互に深く絡み合ったアジアのサプライチェーンで役割が大きいためだという。同社は影響を受けやすい業種として、通信やコンピューター、自動車を挙げた。
  

原題:Trump Rhetoric Raises Specter of 1930s-Style Trade War (Correct)(抜粋)

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