来週の債券市場では長期金利に低下圧力が掛かりやすいと予想されている。トランプ次期米大統領の政策期待を背景とした米長期金利の上昇やドル高・円安、株高に一服感が出ており、米国債を買い戻す動きが続くとの見方が背景。一方、入札が続く超長期債は利回り低下が抑えられやすいとみられている。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は「トランプ相場に対して期待をうのみにしたままで良いのかという警戒感が市場に出て来たのを受けた米金利低下が日本国債にも影響している。今夜の米雇用統計も弱めに出ると、米金利がもう少し低下する可能性がある」として、「10年債利回りがゼロ%をうかがう展開になってもおかしくない」と言う。

  年明けの新発10年物国債345回債利回りは株価の大幅高や10年債入札を控えて0.07%と2週間ぶりの高水準を付けた。しかし、5日の10年債入札の順調な結果や米金利低下を受けて一時0.045%まで買われた。軟調な展開が続いていた超長期債も買われ、新発20年物国債159回債利回りが再び0.6%を下回った。

トランプ相場の調整

トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領
Bloomberg

  米10年国債利回りは5日に一時2.34%と約1カ月ぶりの水準まで大幅低下した。昨年11月以降の「トランプ相場」の行き過ぎた持ち高の調整とみられている。三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長は「まだ米債ショートのポジションがありそう。米雇用統計が弱い結果となった場合はショートの巻き戻しが続き、円債でも金利低下圧力になる」として、米景気回復期待を背景とした債券の戻り売り圧力との綱引きになると予想する。

  一方、11日には30年利付国債入札、13日には残存期間1年超5年以下の流動性供給入札が実施される。今月は17日に20年利付国債入札、24日に40年利付国債入札と続くため、超長期債には金利上昇圧力が掛かりやすい面がある。昨年12月中旬には超長期債利回りが急上昇し、日本銀行は超長期債の買い入れオペを一時的に増額した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「30年入札自体は生命保険や年金の一定需要である程度消化されると思うが、30年入札を通過しても上値を買う人はいないだろう」と指摘。トランプ相場について「一服感はあっても先を見通した期待は続く。超長期債利回りがなかなか下がらないのは景気回復をある程度意識しているのもある」と言う。

市場関係者の見方

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
*米債売りの手じまい続く。日本国債にも金利低下とフラット(平たん)化の要因
*トランポノミクスに対する市場の見方がどう変わっていくか注目
*長期金利の予想レンジはゼロ%~0.08%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*今月の超長期債入札は利回り低下がどんどん進みづらい一つの要因
*相場はやや堅調な感じもするが、基本的にはこれまでのレンジ内
*長期金利の予想レンジは0.02%~0.07%

◎三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長
*利回り低下局面で30年入札となると不安感も、入札前に調整が入れば無難
*20年債で0.6%、30年債で0.75%、40年債で0.9%という目線ができつつある
*長期金利の予想レンジは0.015%~0.095%
*T

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