5日の東京外国為替市場ではドル・円相場が大幅下落し、3週間ぶりに1ドル=116円台を割った。米大統領選以降の米金利上昇・ドル高の流れに一巡感が広がる中、米雇用統計の発表を翌日に控えドルの買い持ちを解消する動きが加速した。

  午後3時57分現在のドル・円は前日比1.2%安の1ドル=115円83銭。朝方に117円台を割り込むと公表仲値が設定される午前10時前には116円台半ばまでドル安・円高が進行。その後116円台後半まで値を戻す場面も見られたが、米長期金利の低下を背景に午後には一段安となり、一時115円58銭と米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに踏み切った昨年12月14日以来の安値を付けた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「米大統領選の後、他通貨も含めてドル高一直線といったムードになっていたので、さすがに年が改まりスピード調整が入っている感じ」と説明。「みんなが注目しているのは、米新政権の経済政策運営とその前後の経済状況だが、非常に不透明」だとし、取りあえずは6日の米雇用統計、11日のトランプ氏の記者会見、20日の大統領就任辺りで「今月の月足が決まる感じではないか」と語った。

  ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨に対して全面安となっており、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.04ドル台後半から一時1.0575ドルと昨年12月30日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。豪ドルは対ドルで同12月16日以来となる1豪ドル=0.73ドル台前半まで上昇した。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグのドルスポット指数は0.7%低下と昨年9月6日以来の大幅安。米10年債利回りはアジア時間5日の時間外取引で約1カ月ぶりの水準となる2.40%前後まで低下した。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、前日発表されたFOMC議事録で「ドル高への懸念もあったほか、思ったよりタカ派的ではなかったことから、米雇用統計を前にしたドルロングの調整が出ているのではないか」とドルの下落を説明。みずほ銀行アジア・エマージングチームの深谷公勝調査役は、旧正月を控えた資金需要と人民元安に対する当局の姿勢への警戒から、ドル安・オフショア人民元高が進んでいることを受け、アジア通貨や円、ユーロに対しても「ドル安を促しているもよう」と話した。

イエレンFRB議長
イエレンFRB議長
Photographer: Pete Marovich/Bloomberg

  米連邦準備制度理事会(FRB)が4日公表したFOMC(12月13-14日開催)議事録によると、金融政策当局者らは同会合で今後見込まれる財政刺激策が与える影響を中心に議論。インフレ高進を防ぐためにいずれは利上げペースを速めざるを得なくなる可能性があると、多くの当局者が懸念し始めていることが示された。一方で、ドル高に伴う下振れリスクが財政刺激策による成長上振れリスクを相殺する可能性について、一部のメンバーが懸念を表明した。

  ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、6日発表の12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月から18万人増加し、失業率は4.7%と前月から0.1ポイント上昇すると予想されている。5日発表の12月の米ADP民間部門雇用者数は前月比17万5000人増(11月は21万6000人増)の見通し。米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数は56.8と11月の57.2を下回ると見込まれている。

  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、ドル・円について、「115円前半までするすると下落してしまうリスクもある」と指摘。その上で、基本的には米雇用統計が無難な結果となれば、今月20日のトランプ大統領就任に向けて「ドル買いが再開していく」と予想した。

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