トランプ次期米大統領は米証券取引委員会(SEC)の次期委員長に法律事務所サリバン・アンド・クロムウェルのパートナーで企業弁護士のジェイ・クレイトン氏(50)を指名する。政権移行チームが4日発表した。クレイトン氏の就任には上院の承認が必要。

  トランプ氏は選挙戦中、ウォール街を愚弄(ぐろう)する発言をし、政敵がゴールドマン・サックス・グループとつながりがあることを批判してきた。しかし同氏がSEC委員長に指名するクレイトン氏は金融業界担当の弁護士であり、顧客にはゴールドマンのほか、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社など、業界を代表する企業が並ぶ。また同氏の妻はゴールドマンに20年近く勤務している。

  しかしトランプ氏の顧問らはクレイトン氏が豊富な経験を有し、雇用の伸びを阻害してきた規制の撤廃でトランプ氏を助けながら、金融業界を「厳しく監督」できる人物だと高く評価している。
 
  トランプ氏は発表資料で、「クレイトン氏は金融・規制法規の多分野を専門とする極めて有能な弁護士であり、米国の金融機関が法を順守しつつ、業績を伸ばし雇用を創出することを可能にすることだろう」とした上で、「米企業への投資を阻害してきた多くの規制を撤廃し、米国の労働者を害さない方法で金融業界の監督を修復する必要がある」と指摘した。

  選挙戦中にトランプ氏がウォール街批判を展開する一方、多くのバンカーはヒラリー・クリントン氏を支持していた。しかしトランプ氏は財務長官にゴールドマンの元パートナーであるスティーブン・ムニューチン氏、国家経済会議(NEC)委員長にゴールドマン前社長のゲーリー・コーン氏、商務長官に著名投資家のウィルバー・ロス氏を起用するなど重要ポストの人選で多くの金融業界関係者を登用した。
 
  サリバン・アンド・クロムウェルのウェブサイトによれば、クレイトン氏は2008年の金融危機時の米政府による銀行救済でゴールドマンの代理人として、100億ドル(現行レートで約1兆1700億円)の支援給付に対応したほか、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイのゴールドマンへの50億ドル投資にも関わった。顧客はゴールドマンのほか、オクジフ・キャピタル・マネジメント・グループやオークツリー・キャピタル・グループなど。実績の多くは企業の合併・買収(M&A)のほか、米当局の調査に直面した企業の代理人としての法律業務。

  事情に詳しい関係者によれば、クレイトン氏の妻、グレッチェン・クレイトン氏はゴールドマンのウェルス・マネジャー。同氏のリンクトインのプロフィルでは00年にゴールドマン入社となっている。

原題:After Ripping Wall Street, Trump Taps Insider to Police Industry(抜粋)

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